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不動産売買

宅建業者の重要事項説明について

不動産売買契約の際、重要事項説明書に基づき、重要事項説明がなされます。

不動産の売主の方にとって、重要事項説明にはどのような意味があるのでしょうか。

ここでは、重要事項説明の具体的な流れ及び内容、そしてこれに不動産の売主がどのように関わるのかを説明します。

1.重要事項説明とは

不動産(宅地建物)の売買契約を締結するにあたり、不動産業者は、買主に対して宅地建物取引士(以下、宅建士と言います)による重要事項説明を行う必要があります。これは、宅地建物取引業法(以下、宅建業法と言います)に定められた義務です。

たとえ買主から重要事項説明を省略してほしいと求められても、重要事項説明を省略することはできません(ただし、近時の宅建業法改正で買主が業者の場合は書面交付のみで足り、説明は不要となりました)。

不動産の売買は、生活や営業の基盤を形づくる財産に関する重要な取引であり、このような大きな財産について、一般の方はそう何度も取引に関与することはありません。しかし不動産の売買契約にあたっては、権利関係や法令上の制限など取引の前提として理解しておかなくてはならない複雑な事項がたくさんあります。

そのため宅建業法は、買主保護を目的として、重要事項説明を不動産業者に義務付けたのです。

なお、売主の所有不動産を売却するのですから、売主も取引内容を十分理解して契約すべきです。
実務上でも、売主に対しても不動産業者が重要事項説明をする場合が多いです。

また、不動産を売るにあたり不利な条件を買主に伏せるために記載しない業者もいますが、契約後に買主とのトラブルに直面するのは売主です。

従って売主は、買主に対して交付される前に重要事項説明書の内容を確認し、記載事項に誤りはないか、有利不利を問わず買主の購入判断に大きな影響を与えると思われる重大な事項の記載が漏れていないかをチェックすべきです。

2.重要事項説明の流れ

(1) 説明時期

不動産業者は、不動産の売買契約を締結する前に、宅建士が作成して押印した書面(重要事項説明書)を買主に交付して、宅建士により、売買契約に関わる重要な事項の説明をさせなければならないものとされています。

重要事項説明は、売買契約が成立する前に行わなければなりませんが、その説明時期については法令に明確な規定があるわけではありません。

ただ、重要事項説明の目的が、買主が購入の意思決定をするのに先立ち、対象となる不動産に関する情報や取引の条件を理解しておくことにありますので、契約締結の直前に行うことはあまり望ましいことではなく、購入を検討できる時間的な余裕のある段階において説明をすべきものと言われています。

(2) 説明の手段

また、重要事項説明を行うためには書面の交付が必要です。

不動産売買にあたり説明すべき事項は複雑で多岐にわたり、口頭で簡単に理解できる内容ではありません。そのため重要事項説明書を交付して説明することが、宅建業法上の義務として定められています。

宅建業法には最低限記載すべき内容が定められており、これに従った記載をして宅建士が押印した書面が、重要事項説明書です。

重要事項説明は、この書面に基づき宅建士が対面で買主に対して行う必要があります。

ただし、安定した双方向の通信環境や事前に重要事項説明書が送付されていることなどの条件により、パソコンやテレビ、スマートフォンなどの端末を使ってインターネット回線を使って行ういわゆるIT重説も認められるようになりました(今後は、重要事項説明書やこれに対する記名押印の電子化も進められていく予定です)。

(3) 説明のやり方・方法

実際の重要事項説明のやり方は、特に法令に規定があるわけではないため、行う宅建士によってまちまちです。単に重要事項説明書を棒読みする人もいれば、必要に応じて補足説明をしながら進める人もいます。

ただし、後から十分な説明を受けられなかったという買主からのクレームを避けるため、買主にとって特に重要な部分とそれほどではない部分のメリハリをつけ、限られた時間の中で重要事項説明を行うことが望ましいとされています。

重要事項の説明がなされると、買主は、重要事項説明書の末尾に署名捺印を求められるのが一般的です。不動産業者が重要事項説明の義務を果たしたことの裏付けとなるからです。

なお、宅建士でない者が重要事項説明を行うなどの違法があった場合も、原則としては不動産業者が行政処分等の対象となるだけで、直ちに売買契約が無効になるわけではありません。

しかし、実際と異なる説明を受けた、不利益についての十分な説明がなかったなどの主張により、買主が契約の効力を争う可能性があります。

【個人間売買の場合には重要事項説明書は不要】
ちなみに、重要事項説明が必要なのは、不動産業者が関与している場合に限られますので、不動産業者を通さない個人間売買の場合には重要事項説明書の交付も重要事項説明も必要ありません。
ただし、買主がローンを組む場合は、金融期間が物件を適正に評価するために必ず重要事項説明書を要求します。そのため、この場合は不動産業者の関与を求め、重要事項説明を行うことになります。

3.重要事項説明書の内容

では、実際に重要事項説明書の内容はどのようなものなのか見ていきましょう。

ここでは、国土交通省が公表している重要事項説明書の様式例を参考に説明します。

重要事項説明書の記載内容は多岐にわたりますが、このうち特に買主側がチェックする項目について説明をします。

(1) 対象となる宅地又は建物に直接関係する事項(様式Ⅰ)

これらは物件自体に関する情報です。

登記記録に記録された事項(様式Ⅰ1)

不動産登記の権利部には「所有権に係る登記(甲区)」と「所有権以外の登記(乙区)」の2つの欄があります。

「所有権に係る登記」については、売主が現在の所有者であるか、そして売主以外の権利(所有権移転仮登記・買戻し特約の登記等)がないかがチェックされます。

また、「所有権以外の登記」については、金融機関の抵当権が登記されていることが多いですが、通常は引き渡しまでに抹消することが売買契約の条件となります。

これら売主以外の登記が売買契約後も残ると、購入後にトラブルに発展する恐れがあるため、売買契約の際に権利関係を整理することが求められます。

都市計画法、建築基準法等の法令に基づく制限の概要(様式Ⅰ2)

都市計画法では主に「用途地域」や「地域地区」について、建築基準法では主に「建ぺい率・容積率」や建物の「高さ制限」など、土地の利用に対する制限について記載されます。

これらの制限により建てられる建物の階数や形、用途などが決まることから、買主によるチェックがなされるところです。

[参考記事] 用途地域とは?13種類の一覧・用途地域ごとの特徴や制限を解説

私道に関する負担に関する事項(様式Ⅰ3)

特に接している道路が私道の場合には近隣とのトラブルの原因となりがちであるため、私道の負担の有無と負担の内容が記載されます。

なお、土地の接道状況は建物を建てる上で非常に重要な条件であり、道路に2m以上接していて建物を新しく建築できるのか、前面道路の幅が4m未満でセットバックが必要な土地でないかなどは、買主にとって極めて重要な情報と言えます。

そのため、私道の負担以外は法律が要求する記載事項ではありませんが、重要事項説明書に道路に関する詳細(接道方向、私道公道の別、幅員及び長さ等)が記載されることが多いです。

[参考記事] 私道に面した土地・建物を購入する際の注意点 [参考記事] セットバックが必要な土地を購入する場合の注意点

飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況(様式Ⅰ4)

水・ガス・電気などのインフラについては、その有無はもちろん、公営か私設かも記載されます。

私設のインフラの場合は負担金が必要な場合もあり、具体的な負担額が記載されます。

その他の物件に関する事項

近年は特に大きな災害に対する備えが注目され、造成宅地防災区域内か(様式Ⅰ8)、土砂災害警戒区域内か(様式Ⅰ9)、津波災害警戒区域内か(様式Ⅰ10)、耐震診断の内容(様式Ⅰ13)といった項目も買主のチェックを受ける項目です。

特に近時、洪水被害が多発していることから、「水防法に基づく水害ハザードマップにおける当該宅地建物の所在地(様式Ⅰ11)」に関する事項も記載が必要な事項に付け加えられました。

また、健康被害の危険がある石綿を使用した建物もまだ多く残っていることから「石綿使用調査の内容(様式Ⅰ12)も記載されます。

(2) 取引条件に関する事項(様式Ⅱ)

売買契約の取引条件に関する事項です。

代金及び交換差金以外に授受される金額(様式Ⅱ1)

代金以外に授受されるお金としては、手付金と固定資産税等の清算金があります。

このほかにも仲介手数料、金融機関の事務手数料、登記費用などがあり得ますが、通常は記載されていません。ただ、買主が記載を求めれば記載すべきことになりますので、記載する場合は金額と誰が負担するのかが正確に記載されているかを確認する必要があります。

契約の解除に関する事項(様式Ⅱ2)

契約解除の場面ごとに、契約書の参照条項を明示して細かく記載するのが望ましいです。

解除時に支払済みの手付金等が返還されるかどうか、違約金が発生するのか等の条件も重要です。

契約解除に関する事項は売主にとっても大きな影響があるところですから、内容を十分確認しておくことが必要となります。

金銭の貸借のあっせんに関する事項(様式Ⅱ6)及び割賦販売に係る事項(様式Ⅱ8)

買主の代金支払いについて、不動産業者が住宅ローンのあっせんをするかどうか、する場合はそのあっせん内容の詳細が記載されます。

ローン審査が通らなかった場合にはどうするかも、あわせて記載されます。

また、代金を分割払いとする場合には、その支払方法が記載されます。

契約不適合の担保責任の履行に関する措置の概要(様式Ⅱ7)

売買した宅地建物に契約不適合があり売主が責任を負う場合に備えた責任保険等に売主が加入するなどしているかどうか、加入等している場合はその具体的な内容が記載されます。

万一の場合の備えがなされているかは、買主にとって重大な関心事です。

【実際に使われている重要事項説明書】
以上が重要事項説明書の主要な記載内容です。実際に不動産業者が使っている書式は、国土交通省が公表している様式よりも詳しい場合が多いです。
特に国土交通省の様式では法令で求められている事項しか記載欄がありませんが、「その他」として売買契約書の特約事項等について記載して、改めて買主の注意を喚起し、特約の説明がなかったというクレームを防ぐケースが多く見られます。
また、国土交通省の様式では添付書類が記載されていませんが、重要事項説明書には売買契約書案、不動産の登記事項証明書、公図、各種法的規制に関する資料等が綴り込まれているのが通常です。

4.まとめ

重要事項説明書の内容は専門的な事項も多く、売主の方がご自身で全ての記載内容が適切かを判断することは難しいことと思われます。

このような場合には、不動産取引に精通した弁護士に、重要事項説明書及び売買契約書の内容のチェックをご依頼ください。

弁護士にご依頼いただければ、法的にこれらの書面の内容が適切かどうか、そして将来トラブルとなる危険性はないかをチェックしてもらうことができます。

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