地主の方は、借地人の方とトラブルとなることが少なくありません。ここでは、借地借家法、旧借地法に関する説明、借地権買い取り、地代等増額請求などについて解説します。
借地借家法と旧借地法
平成3年に借地借家法が制定され、平成4年8月1日に施行されました。この日を境に大きく法律の適用が変わりましたので注意が必要です。
平成4年7月31日までに締結された借地契約については、旧借地法が適用され、同年8月1日以降に締結された借地契約は、借地借家法が適用されます。
ただし、平成4年7月31日以前から締結されていた借地権については、「更新契約」を締結した場合も、旧法借地法が適用される点には注意が必要です。
違いの具体例の一つとして、定期借地権の制定について見てみましょう。
そもそも借地権には大きく分けて、普通借地権と定期借地権の2種類があります。
普通借地権とは、借地契約が満了した際でも更新ができる借地権です。契約満了時に借主が契約更新の意思を示した場合、地主側にその更新を拒否する正当な事由が無い限り、契約が自動的に更新されます。また、建物買取請求権といって、契約終了時に借主が建てた建物が残存していた場合に、地主に買い取りを請求することもできます。
一方、定期借地権とは、借地契約の期間が満了した際に更新することができない借地権です。
この場合、建物買取請求権は存在しないため、借主は自分で建物を解体し、更地にした上で地主に土地を返還することになります。
新しい借地借家法で、この定期借地権が制定されました。
旧借地法下では、借主から更新を求められれば、地主は余程の理由がないと更新を拒否できず、土地を返還してもらうためにトラブルになることが多かったのですが、定期借地権を活用することで、一般的には地主側にとって、借地期間満了とともに土地の返還がされやすくなり、メリットを享受できるようになりました。
ただし、借地契約がいつ締結され、どちらの法律に従うことになるのかについてはよく確認しておく必要があります。
借地権買い取り
借地人の死亡等によって当該借地が不要とされる場合や、地主の方の都合により借地が必要となるケースがあります。
そうすると、地主の方が借地権を買い取り、借地人側に立ち退いてもらいたいというケースが出てきます。
その際は、借地人側と地主側との合意に基づき、借地契約を解除したり、借地権を買い取ったりすることで、借地契約を終了することができます。
地代等増額請求
長く借地契約を続けていると、その地価が上昇することがあります。また、近隣の土地の地代と比較して不相応な状況になることもありますし、経済事情の変動などの理由で増額したい場合もあるでしょう。
地主側と借地人側とで話し合いを行い、地代等を増額することもできますが、借地人側の納得が得られず、話し合いがまとまらないケースもあります。このような場合に、地代等増額請求を行うことができます。
地代等増額請求は口頭でも行うことができますが、書面で残すことが一般的です。また、適切な金額を決めるためにも裁判所を介して行うことが一般的です。
ですから、弁護士に相談し、適切な手続きを踏むようにすると良いでしょう。