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品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)をわかりやすく解説

新築住宅を建築する場合には、「品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」のルールを意識しておく必要があります。

「品確法」は、一般の方にはあまりなじみがない法律かもしれませんが、不動産取引に関与する人であれば、売主・買主を問わず、その内容を理解しておくに越したことはありません。

この記事では、品確法の目的や内容について、全体像を俯瞰しながら、各項目を掘り下げて解説します。

1.品確法の目的と主な内容

まず、品確法とはどのような法律であるかを理解するために、法の目的と主な規定内容について概要をまとめておきます。

(1) 品確法の目的

品確法の目的は、同法1条において以下のとおり定められています。

(目的)
第一条 この法律は、住宅の性能に関する表示基準及びこれに基づく評価の制度を設け、住宅に係る紛争の処理体制を整備するとともに、新築住宅の請負契約又は売買契約における瑕疵担保責任について特別の定めをすることにより、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

1990年代に、住宅の「手抜き工事」が社会問題化し、消費者が安心して住宅を購入できる土壌を確保する法制度が求められていました。

そもそも住宅の購入を検討する消費者は、不動産に関する知識や情報に乏しいため、住宅の良し悪しを判断するのが非常に難しいという事情があります。

不動産業者に対して弱い立場にある消費者を保護するため、2000年4月1日に品確法が施行されました。

品確法では、住宅の品質確保に関する一定のルールを設け、質の良い住宅が供給される社会状態を確保することが意図されています。

(2) 品確法の2本柱|住宅性能評価・瑕疵担保責任の特則

品確法の中で主要な内容を占めるのが、「住宅性能評価」と「瑕疵担保責任の特則」の2つです。

住宅性能評価」は、住宅を一定の基準に基づいて多方面から分析し、客観的な評価を与える制度です。
住宅性能評価において高評価を得た物件は、流通市場においても、品質が保証された物件として高く評価される可能性が高いでしょう。

瑕疵担保責任の特則」は、民法で定められている「契約不適合責任」のルールを、新築住宅に限ってさらに厳格化しています。

次の項目より、「住宅性能評価」と「瑕疵担保責任の特則」の各規定内容について、詳しく解説します。

2.住宅性能評価の概要とメリット

品確法の1つめの柱は「住宅性能評価」です。

住宅について、住宅性能評価を受けることは任意ではあるものの、後述するように様々なメリットがあります。

(1) 住宅性能評価とは?

住宅性能評価とは、国土交通大臣の登録を受けた評価機関が、申請のあった住宅について性能・品質の評価を行い、その結果を記載した評価書を交付する一連の手続きをいいます(同法5条1項)。

住宅性能評価は、国土交通大臣および内閣総理大臣が定める「日本住宅性能表示基準」(品確法3条1項)に基づいて行われます。

【参考】日本住宅性能表示基準|国土交通省

(2) 住宅性能評価の項目

日本住宅性能表示基準では、住宅性能評価書の中に、以下の10項目を記載すべき旨を定めています。

①構造の安定に関すること
耐震等級、耐風等級、耐積雪等級、地盤や杭の許容支持力、基礎の構造などに関する事項が記載されます。

②火災時の安全に関すること
感知警報装置設置等級、避難安全対策、脱出対策、耐火等級などが記載されます。

③劣化の軽減に関すること
大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため、必要な対策がどの程度講じられているかが記載されます。

④維持管理・更新への配慮に関すること
給排水管・給湯管・ガス管の維持管理・更新を容易にするため、必要な対策がどの程度講じられているかが記載されます。

⑤温熱環境に関すること
暖冷房に使用するエネルギーを削減するために、断熱化等による対策がどの程度講じられているかが記載されます。

⑥空気環境に関すること
ホルムアルデヒド対策、換気対策、室内空気中の化学物質の濃度などが記載されます。

⑦光・視環境に関すること
居室の外壁または屋根に設けられた開口部面積の、床面積に対する割合の大きさや、方位別の比率が記載されます。

⑧音環境に関すること
重量物の落下音や、足音の衝撃音を遮断するため、必要な対策がどの程度講じられているかなどが記載されます。

⑨高齢者等への配慮に関すること
バリアフリー対策の程度に関する評価が記載されます。

⑩防犯に関すること
開口部の侵入防止対策に関する評価が記載されます。

(3) 住宅性能評価を受けるメリット

住宅性能評価を受けることには、主に以下のメリットが存在します。

住宅の価値について客観的な証明を受けられる

住宅性能評価書には、日本住宅性能表示基準に基づき、多角的な観点から住宅の性能に関する記載が行われます。

評価結果には高い客観性が認められるので、買主は安心して住宅を購入できるでしょう。
その裏返しとして、売主にとっては買い手を見つけやすいメリットがあります。

また買主にとっても、将来第三者に住宅を売却する際に、住宅性能評価書を提示することによって売却先候補の信頼を得ることに繋がるでしょう。

地震保険料が割引になる

住宅性能評価書を取得した場合、耐震等級に応じて地震保険料が割引になります。
(耐震等級3では50%、耐震等級2では30%、耐震等級1では10%)

住宅紛争処理制度を利用できる

建設住宅性能評価書が交付された住宅について、建設工事の請負契約または売買契約の当事者間で紛争が生じた場合、当事者の申立てにより指定住宅紛争処理期間のあっせん・調停・仲裁制度を利用できます。

これらの住宅紛争処理制度は、訴訟よりも簡易かつ柔軟な手続きであるため、当事者のニーズや事情を反映した解決策が得られる可能性が高いです。

3.品確法上の瑕疵担保責任の特則について

品確法の2本目の柱は「瑕疵担保責任の特則」です。

現行民法では「契約不適合責任」のルールが定められていますが、新築住宅の請負契約および売買契約については、品確法に基づき、請負人・売主の責任が大幅に加重されています。

(1) 現行民法の原則|契約不適合責任

現行民法では、有償契約の目的物が、種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、売主が買主に対して「契約不適合責任」を負うとされています(民法562条以下)。
以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年4月1日に施行された改正民法によって「契約不適合責任」と改められました。

[参考記事] 民法改正|瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い

契約不適合責任の具体的な内容は、以下のとおりです。

①履行の追完(民法562条)
契約の目的物に不適合が存在する場合、買主は売主に対して、目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しにより、履行の追完をするよう請求できます。

②代金の減額(民法563条)
①の履行の追完が行われない場合には、買主は売主に対して、不適合の程度に応じて代金の減額を請求できます。

③損害賠償(民法564条、415条1項)
契約の目的物に存在する不適合を原因として、買主に損害が生じた場合には、買主は売主に対して、その損害を賠償するよう請求できます。

④契約の解除(民法564条、541条)
不適合の度合いが軽微でない場合には、催告期間内にその不適合が是正されない限り、買主は契約を解除することができます。

(2) 契約不適合責任の期間は1年

民法上、買主が売主の契約不適合責任を追及するためには、不適合を知った時から1年以内に、不適合の存在を売主に通知しなければなりません(民法566条本文。ただし、売主が不適合について悪意・重過失の場合は例外)。

また、契約不適合責任は、契約で定めることによって排除することが認められています(民法572条。ただし、売主が知りながら告げなかった不適合については、売主が契約不適合責任を負う)。

(3) 新築住宅の瑕疵担保責任は10年

前述のとおり、民法上の契約不適合責任の期間は、原則として「不適合を知った時から1年」です。

これに対して、新築住宅の請負契約および売買契約については、品確法94条1項・95条1項の「瑕疵担保責任」が適用され、責任期間が「引き渡しから10年」となります。

このように、品確法の瑕疵担保責任が適用される場合には、新築住宅の欠陥に関して、請負人(売主)の責任を追及できる期間が大幅に延長されます。

なお、品確法上の瑕疵担保責任が適用されるのは、新築住宅のうち「構造耐力上主要な部分」または「雨水の浸入を防止する部分」として、政令で定められている以下のものに限られます(品確法施行令5条)。

<構造耐力上主要な部分>
以下のいずれかであって、住宅の自重、積載荷重・積雪・風圧・土圧・水圧、地震その他の振動・衝撃を支えるもの
住宅の基礎・基礎ぐい・壁・柱・小屋組・土台・斜材(筋かい、方づえ、火打材など)・床版・屋根版・横架材(はり、けたなど)

<雨水の浸入を防止する部分>
・住宅の屋根、外壁、またはその開口部に設ける戸、わくその他の建具
・雨水を排除するために住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根もしくは外壁の内部、または屋内にある部分

(4) 品確法上の瑕疵担保責任期間は、短縮不可

品確法上の瑕疵担保責任は、民法上の契約不適合責任とは異なり、特約によって排除することが一切認められません。

品確法94条2項および95条2項では、請負人・売主の瑕疵担保責任に関して、注文者・買主に不利な内容を定める特約は無効である旨が定められています。
したがって、瑕疵担保責任期間を10年より短くすることはできません。

このように、品確法上の瑕疵担保責任が適用される場合には、不動産の欠陥(瑕疵)に関して、注文者・買主が非常に厚く保護されます。

4.まとめ

品確法では、主に「住宅性能評価」と「瑕疵担保責任の特則」という両輪の制度によって、住宅の品質確保と購入者(消費者)の保護が図られています。

住宅の取引に関わる方は、売主(請負人)側・買主(注文者)側のいずれであっても、品確法のルールを押さえておくと取引への理解度を高めることができます。

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