不動産に強い弁護士に無料相談【東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪】
安心と信頼のリーガルネットワーク弁護士法人泉総合法律事務所不動産問題
0120-553-813
【電話受付】平日9:00〜21:00/土日祝9:00〜19:00
お問い合わせ
(365日24時間受付中)
不動産売買

土壌汚染が土地売買に与える影響とトラブル回避策

土壌汚染は、その土地を使用する人や周辺住民に対して、重大な健康被害を及ぼすおそれがあります。
そのため、土地の売買を行う際には、土壌汚染の有無は重要なチェックポイントです。

もし土地の土壌汚染が疑われる場合には、専門家による土壌汚染調査を実施したうえで、土地売買契約上の手当てを行いましょう。

この記事では、土壌汚染が土地売買に与える影響と、土地売買時の土壌汚染に関するトラブル回避・リスク管理のための対処法を解説します。

1.土地売買における土壌汚染の取り扱い

土壌汚染は、土地の売買に重大な影響をもたらす事象なので、特に売主側は注意する必要があります。

まずは土壌汚染によって、土地売買につきどのような法的影響が生じるのかについて解説します。

(1) 重要事項説明の対象になる

宅地建物取引業者は、自ら売主になる場合および仲介を行う場合のいずれにも共通して、買主に対する重要事項の説明義務を負っています(宅地建物取引業法47条)。

宅地建物取引業者が説明すべき事項の中には、取引条件等に関して、買主の不動産売買を行うかどうかに関する判断に重要な影響を及ぼす事項が含まれます。
このような事項を「重要事項」と呼んでいます。

土壌汚染が発生している場合、一般的に買主は、その土地を買うことを躊躇する可能性が高いといえます。

そのため、土壌汚染が発生している事実は「重要事項」に当たり、宅地建物取引業者は買主に対して説明義務を負うのです。

宅地建物取引業者が、土壌汚染が発生している事実を故意に告げず、または「土壌汚染はない」と虚偽の事実を告げた場合には「2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」に処され、またはこれらが併科されます(同法79条の2)。

[参考記事] 不動産仲介業者が法的責任を負う場合とは?

(2) 説明がない場合は「契約不適合責任」

売買の対象土地に土壌汚染が生じていた場合、売主は「契約不適合責任」を負担する可能性があります。

契約不適合責任とは、売買等の目的物が、種類・品質・数量に関して契約の内容と適合しない場合に、売主が買主に対して負担する責任を意味します。

「土壌汚染がない土地」を売買する契約を締結したのに、実際には「土壌汚染された土地」であった場合には、売買の目的物である土地の「品質」に関して、契約内容との不適合が存在します。

この場合、売主は以下の4つのいずれかの方法によって、買主から法的責任を追及される可能性があるので要注意です。

①履行の追完(民法562条)

目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しにより、契約に従った完全な目的物の引渡しを改めて行います。

土壌汚染された土地の場合、売主の費用負担で除染作業を行うことになります。

②代金の減額(民法563条)

契約不適合によって目的物の価値が減少したことに伴い、売買等の代金を減額します。

原則として、買主は売主に対して先に履行の追完を催告し、相当の期間内に履行の追完がなかった場合に、はじめて代金の減額を請求できます(同条1項)。

ただし、履行の追完が不能である場合や、売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示した場合などには、買主は履行の追完を催告することなく、直ちに売主に対して代金の減額を請求することが可能です(同条2項)。

③損害賠償(民法564条、415条1項)

契約不適合により、買主が被った損害の賠償を、売主に対して請求します。

買主が除染作業などを行い、その際に費用が発生した場合には、売主に対して費用の賠償を請求できます。

④契約解除(民法564条、541条、542条)

買主が、目的物の契約不適合を理由として、売買契約自体を解除によって終了させます。

契約解除は原則として、売主に対して履行の追完を催告し、相当の期間内に履行がない場合に行うことができます(民法541条本文)。

ただし、契約不適合の程度が、契約内容および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約解除が認められません(同条但し書き)。

[参考記事] 民法改正|瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い

【土壌汚染に関する契約不適合責任を免責する特約は有効?】
民法の契約不適合責任に関する規定は「任意規定」、すなわち契約上の特約によって排除可能と解されています。したがって、売主の契約不適合責任を免責する旨の規定は、原則として有効です。
ただし、売主の契約不適合責任を免責する旨の特約は、以下に挙げる例のように、法的に無効となるケースもあります。
・売主が土壌汚染の事実を知りながら告げなかった場合(民法572条)
・売主が宅建業者であり、買主が宅建業者ではない場合(宅地建物取引業法40条)
・売主が事業者、買主が消費者である場合(消費者契約法8条2項)
したがって、事業者が消費者に対して土地を売却する場合は、土壌汚染に関する契約不適合責任を免れることはできません。
参考:契約不適合責任は特約で免責できる?契約書の文例・注意点を解説

2.土壌汚染が疑われる場合のリスク回避

売買の目的物である土地について、土壌汚染の疑いがある場合、売主としてはリスクコントロールに努める必要があります。

そのためには、土壌汚染に関してきちんと調査を行うこと、および調査結果を踏まえて契約上のリスク分担を適切に行うことが大切です。

(1) 土壌汚染の有無について専門業者に調査依頼

売主としては、まず専門業者に依頼して、土壌汚染の有無をきちんと調べる必要があります。

前述のとおり、土壌汚染の有無は重要事項として買主に説明しなければならないので、売主が土壌汚染の状況を正確に把握する必要があるからです。

仮に調査によって土壌汚染が発覚した場合、売買の実行前に除染作業を行うことにより、実行後に買主との間で契約トラブルが発生する危険を防ぐことにも繋がります。

(2) 契約交渉による売主のリスク負担の調整

売買の目的物である土地につき、土壌汚染の事実が発覚した場合や、そのおそれが懸念される場合には、土地売買契約において、売主が土壌汚染のリスクを負担することもやむを得ないでしょう。

しかし、何でもかんでも売主が責任を負わなければならないわけではなく、売主と買主の間で適切なリスク配分が行われているかどうか、契約内容をきちんと確認する必要があります。

具体的には、以下の3つのポイントに関連する条項につき、売主にとって不当に不利な内容になっていないか確認しましょう。

除染作業の完了を売買実行の前提条件とする

実際に土壌汚染の事実が確認された場合には、売主の費用負担で除染工事を行い、除染が完了した旨の報告書を買主に提出することになります。

その際、買主が合理的に満足する内容の報告書が提出されなければ、買主は売買を実行する(代金を支払う)義務を負わない旨を契約書に規定するのが一般的です。

売主としては、「除染工事や提出書類について過剰な義務を負っていないか」「買主の裁量に「合理的」などの限定がきちんと加えられているか」といった点を確認しましょう。

土壌汚染がないことについて売主が表明保証する

土壌汚染のリスクを売主に負わせるため、土地売買契約において、土壌汚染がない旨を売主が表明・保証する旨を規定する場合があります。
この場合、仮に後から土壌汚染の事実が発覚した場合、売主は買主に生じた損害を賠償しなければなりません。

このような表明保証自体は一般的な範疇ですが、売主としては、できれば「売主の知る限り」、最低限「売主の知り得る限り」という限定を付しておくべきでしょう。

また、表明保証違反の場合に賠償すべき損害の範囲についても、民法の原則に従って「相当因果関係の範囲に限る」と限定しておくことが大切です。

土壌汚染が発覚した場合、売主の負担で除染させる

土地の売買実行後に土壌汚染が発覚した場合、売主が除染工事を行う義務を負う旨の遵守事項が規定されることがあります。

売主としては、表明保証責任に一本化して、遵守事項の規定を拒否することも十分考えられます。

仮に遵守事項として除染義務を規定せざるを得ない場合でも、施工業者の選定等は売主側で行うことができるようにしておきましょう。

3.まとめ

土地の売買契約において、土壌汚染は、売主・買主間での深刻な契約トラブルの原因となります。

売主としては、きちんと土壌汚染の調査を行ったうえで、買主に対する説明を尽くすことが大切です。

また、土壌汚染に関する契約上のリスク分担についても、土地売買契約の条項をきちんと確認して、売主にとって不当に不利な条件を押し付けられないように注意する必要があります。

土壌汚染をはじめとして、土地の売買に関するさまざまな契約上のリスクを適切にコントロールするためにも、一度弁護士までご相談ください。

関連するコラム
38 40
【電話受付】平日9:00〜21:00 / 土日祝9:00〜19:00