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不動産売買

契約不適合責任は特約で免責できる?契約書の文例・注意点を解説

不動産の売買などにおいて、契約の目的物に欠陥が存在した場合には、売主側が「契約不適合責任」を負担するのが原則です。

しかし、不動産の売買契約書では、契約不適合責任を免責する旨の特約が設けられているケースがあります。
このような特約は、法律上有効なのでしょうか。

契約不適合責任を免責する特約については、ケースバイケースで有効性の判断が分かれます。
免責特約が有効な場合・無効な場合について、正しく理解しておきましょう。

この記事では、契約不適合責任を特約で免責できる場合とできない場合の区別や、免責特約の文例・注意点などについて解説します。

1.契約不適合責任とは?

(1) 不動産における契約不適合責任

まず、「契約不適合責任」とは誰のどのような責任であるかについて、基本的な知識を押さえておきましょう。

「契約不適合責任」は、売買契約などの有償契約において、目的物の種類・品質・数量が契約内容に適合していなかった場合に、売主が買主に対して負う責任をいいます。

不動産の売買であれば、以下のような事態が「契約不適合」に該当します。

  • 不動産の一部が壊れている
  • 不動産に使用されている建材が、契約で予定されたものよりも品質面で劣っている
  • 土地の面積が、契約上予定されたものよりも不足している

このような契約不適合が存在した場合、次の項目で解説する方法により、売主は買主に対して補償などを行わなければなりません。

(2) 契約不適合責任の具体的な内容

売主が負担する契約不適合責任の具体的な内容は、「履行の追完」「代金の減額」「損害賠償」「契約の解除」の4つです。

履行の追完

目的物について契約不適合が存在する場合、買主は売主に対して「履行の追完」を請求できます(民法562条1項)。

「履行の追完」とは、要するに「完全なものを引き渡すように求める」ことをいい、具体的には以下のいずれかの方法により行われます。

  • 目的物の修補
  • 代替物の引渡し
  • 不足分の引渡し

代金の減額

買主が相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に売主が履行の追完をしない場合には、買主は売主に対して、不適合の程度に応じた代金の減額を請求できます(民法563条1項)。

なお、履行の追完が不能の場合や、売主が履行の追完を明確に拒絶した場合などには、履行の追完を催告することなく、直ちに代金の減額を請求することが可能です(同法2項)。

損害賠償

契約不適合により代金の減額だけではカバーできない損害が生じた場合には、買主は売主に対して、債務不履行に基づく損害賠償を請求できます(民法564条、415条1項)。

契約の解除

買主が売主に対して催告したにも関わらず相当の期間内に履行の追完がない場合には、買主は契約を解除できます(民法564条、541条本文)。

ただし、契約不適合の程度が契約および取引上の社会通念に照らして軽微である場合は、契約の解除までは認められません(民法541条但し書き)。

(3) 契約不適合責任の期間制限

目的物に契約不適合が存在する場合、買主が不適合を知った時から1年以内に売主に不適合の存在を通知しなければ、契約不適合責任を追及することはできなくなります(民法566条)。

2.契約不適合責任は特約で免責できる?

契約不適合責任は、売買実行後に現実化するリスクの一部を売主に負わせるルールです。
そのため売主としては、できれば特約を定めて、契約不適合責任を排除しておきたいところでしょう。

法的には、契約不適合責任を特約で排除できる場合と、できない場合の両方が考えられます。
以下では、契約不適合責任を排除する特約がどのような場合に有効で、どのような場合に無効となるのかについて解説します。

(1) 任意規定なので原則として免責可能

契約不適合責任に関する民法の規定は、いわゆる「任意規定」と解されています。
任意規定とは、契約自由の原則を尊重して、契約で別段の定めがなされた場合には、契約の内容を優先させることになっている法律上の規定です。

契約不適合責任に関する規定が任意規定であるということは、契約で別段の定めを置くことにより、その内容の変更が認められます。

したがって、特約による契約不適合責任の排除は有効であるというのが、もっとも原則的な考え方です。

(2) 例外的に契約不適合責任の免責が認められない場合

原則論としては契約不適合責任を特約で排除することは可能ですが、その一方で、以下のように例外的に契約不適合責任の排除が認められないケースもあります。

売主が不適合を知りながら買主に告げなかった場合

売買実行以前に、売主が目的物の不適合を知っていながら、その事実を買主に告げなかった場合には、契約不適合責任を免責する特約の適用対象外となります(民法572条但し書き)。

このような売主は、取引当事者として不誠実であり、免責による保護に値しないからです。

売主自らの行為により権利に関する不適合が生じた場合

また、売主自ら第三者のために権利を設定し、または第三者に権利を譲渡したことによって発生した契約不適合については、売主は契約不適合責任を免れることができません(民法572条但し書き)。

この場合は、契約不適合に関する売主の責任がきわめて大きいため、特約による免責の対象外とされているのです。

売主が宅建業者、買主が宅建業者でない場合

宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地・建物の売買契約において、契約不適合の通知期間を2年以上とする特約を除き、契約不適合責任を軽減する内容の特約をすることが禁止されています(宅地建物取引業法40条1項)。
上記の特約禁止に違反した特約は、無効となります(同条2項)。

宅地建物取引業者と消費者では、消費者の方が一般に立場が弱いため、消費者保護の観点から、契約不適合責任の特約による免責が制限されているのです。

なお、売買の相手方も宅地建物取引業者の場合には、消費者保護の趣旨が当てはまらないため、契約不適合責任の特約免責を制限する規定は適用されません(同法78条の2第2項)。

売主が事業者、買主が消費者の場合

売主が事業者で、買主が消費者である取引には、消費者契約法が適用されます。

この場合、消費者契約法8条1項1号、2号および同条2項に従い、売主の契約不適合責任のうち、履行の追完および代金減額に関する責任を免除する特約などは無効となります。

新築住宅の場合

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)」では、新築住宅に係る請負契約および売買契約について、契約不適合責任の特則が設けられています。

通常の契約不適合責任の場合、売主の責任期間は「不適合を知った時から1年」です。
しかし新築住宅に係る請負契約および売買契約の場合、住宅の品質を確保するため、「引き渡しから10年」の瑕疵担保責任が設けられています(品確法94条1項)。

品確法上の瑕疵担保責任は、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」に限られますが、期間制限が非常に長くなっている点に注目すべきでしょう。

[参考記事] 品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)をわかりやすく解説

3.契約不適合責任を免責する特約の例文

契約不適合責任を特約で免責したい場合、その旨を契約書において明確に規定しておかなければなりません。
免責特約の文言の文例は以下の通りです。

第〇条
売主は買主に対し、本契約に関して一切の契約不適合責任を負わないものとし、買主は売主に対して、本目的物の種類、品質または数量が本契約に適合しないことを理由として、履行の追完、売買代金の減額、損害賠償請求または本契約の解除をすることができない。

契約の目的物や取引の内容、免責の範囲などによって文案は変わってくるので、具体的な事案に合わせた調整は弁護士にご依頼ください。

4.契約不適合責任の免責について起こりがちなトラブル

契約不適合責任を特約で免責する場合、以下のようなトラブルが起こりがちです。
売主・買主のいずれも、必要に応じて弁護士に相談しながら、契約内容をきちんと確認しましょう。

(1) 免責できないケースなのに免責が規定されている

前述のように、契約不適合責任を免責する特約は、一定の要件を満たす場合には無効となってしまいます。

免責が認められないケースであるにも関わらず契約不適合責任の免責が契約中に規定されている場合には、その部分について契約内容が修正されることになります。

売主側としては、無効な条項を契約書中に残しておくことは事業者としての信頼に関わるため、弁護士のリーガルチェックを受けてひな形を見直しましょう。

また買主側としては、無効な条項をきちんと把握・指摘して、不測の損害を被らないように契約書の確認することをお勧めします。

(2) 契約書に免責が規定されていることに気づかない

買主側としては、売主が提示する契約書をよく確認しないばかりに、契約不適合責任の免責が規定されていることに気がつかないケースがあります。

契約不適合責任は、トラブル発生時における当事者の権利・義務に大きく影響するため、契約書の中でも最重要の部類に入る条項です。

重要な条項の見落としを防ぐためには、念には念を入れて、契約書のレビューを専門家に頼むことも有効です。

5.まとめ

以上のように、契約不適合責任は任意規定であるため原則として特約で免責することができますが、一部には免責が認められない例外も存在します。

契約不適合責任に関する契約の規定は、当事者間でのリスク分散をどのように行うかの観点から極めて重要です。

重要な条項や、ご自身にとって不利益となる条項の見落としを防ぐためには、契約書のレビューを弁護士にご依頼ください。

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