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不動産売買

事故物件の売買トラブル|告知義務と心理的瑕疵

事故物件の売買トラブル|告知義務と心理的瑕疵

不動産取引でしばしば問題となるのが「事故物件」です。
事故物件は、一般的には仲介業者にはその旨の告知をすべき義務があるとされています。

この記事では、事故物件の売買トラブル(告知義務や心理的瑕疵)について解説していきます。

1.事故物件とは?

(1) 事故物件の定義

民法その他不動産に関する法律では、「事故物件」の定義を規定している法律はなく、これは取引上使用されている用語です。

例えば、殺人があった場合や、その不動産で自殺があった場合に事故物件に当たることは、取引通念上明らかです。

しかしながら、孤独死・自然死や、孤独死の中でもすぐに発見された場合・長期に渡って死体が発見されなかった場合については、事故物件にあたるか否かについては明らかではないと言われており、事故物件という用語はかなり曖昧なものです。
もっとも、最近では孤独死で死亡したことも告知する業者も多くあります。

(2) 心理的瑕疵について

事故物件は、「心理的瑕疵物件」とも言われています。

「瑕疵」とは、傷があること、何かしらの欠陥のあることをいます。殺人や自殺により死亡した物件については一般人の基準からして心理的な抵抗があることが多いことから、「心理的瑕疵がある」と表現されます。

また、殺人や自殺と異なり、孤独死については心理的瑕疵にあたると一概にいうことはできません。
もっとも、孤独死のケースで、長期にわたって死体が発見されず、特殊清掃などの行われた場合などは心理的瑕疵と評価される傾向があるといえます。

2.事故物件における告知義務

事故物件における告知義務とは、事故物件に該当し、心理的瑕疵のあると思われる物件を売買や賃貸の対象とする契約において、殺人・自殺等により人が死亡し、事故物件にあたることを契約の相手方である買主に告知しなければならない義務のことをいいます。

この義務の根拠は、次にみる宅地建物取引業法第47条第1号ニに規定があります。

<宅地建物取引業法第47条第1号ニ>
「宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

一 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

~(略)~

ニ イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの

この条文には、事故物件や心理的瑕疵との文言はありません。
しかし、「相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」=事故物件であると考えられます。したがって、この条文を根拠に宅地建物取引業者に法律上義務があることがわかります。

もっとも、この宅地建物取引業法は、基本的には適用の対象が「宅地建物取引業を営む者」(宅地建物取引業法第1条)であり、同法47条の主語も「宅地建物取引業者」であることから、不動産の売主に課せられた義務ということは難しいかと思われます。

しかし、売主に明示に義務が課せられていないとしても、その不動産について一番詳しい者は売主であるので、不動産仲介業者に告げていることが無難でしょう。

また、売主の責任としても、告知しなかったことを原因に損害賠償責任等を負うことがあり得ます。

【事故物件における告知義務の期間】
事故物件における告知義務の期間については、法律に明確に定められていません。もっとも、傾向としては、賃貸であれば2~3年、売買では10年以上の告知義務期間を設けているようです。また、報道などで知れ渡った殺人事件などのあった物件の場合にはより長く告知義務期間を設けるべきであると思われます。具体的にどれほどの期間を設けるべきかは個別具体的な状況により異なります。
加えて、判例では、賃貸の事例で特段の事由のない限り、殺人・自殺等があった後の最初の賃借人に対して告知義務があるとしています。そのため、次の借り手に対しては告知義務を原則として負わないと考えることもできます。
もっとも、最近ではこのような場合でも告知義務を果たしている業者もおり、後のトラブルを避けるために積極的な措置を取っているようです。
気になるようであれば、不動産を購入又は賃借する場合には一度過去に事故物件として扱われていたかどうかを確認するのが良いでしょう。

3.告知義務に違反するとどうなる?

(1) 行政上の処分

不動産の仲介業者は、宅地建物取引業者にあたり、この宅地建物取引業を行うためには、国土交通大臣又は都道府県の許可が必要となります。

事故物件における告知義務は、既にみたように宅地建物取引業法第47条第1号ニに規定されており、同法第65条第2項及び第4項において、当該宅地建物取引業者に対し、同法47条第1項ニに規定する告知義務に違反した場合には、国土交通大臣又は都道府県知事は、「一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。」と規定しています。

そのため、告知義務の違反をした不動産仲介業者は、一年以内の業務の全部又は一部の停止をせざるを得なくなることとなります。

さらにこれに加え、同法66条第1項第9号の規定により、違反の程度が著しい場合などには、免許の取消しの処分を受けるおそれがあります。

(2) 刑事上の罰則

不動産仲介業者は、宅地建物取引業法により、次のような刑事上の責任を負います。

<宅地建物取引業法第79条の2>
「第四十七条の規定に違反して同条第一号に掲げる行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」

宅地建物取引業法第47条第1号に規定のある告知義務に違反した場合には、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金やその両方が科せられるおそれがあります。

(3) 民事上の責任

買主又は借主との間で不動産仲介業者は、媒介契約を締結します。
告知義務に違反した場合には、この媒介契約における債務不履行と評価されますので、買主又は借主は、債務不履行を原因とする損害賠償請求をすることができます。

また、買主又は借主は、不動産仲介業者に対して、生じた損害や精神上の苦痛を理由とする損害賠償請求が認められる場合があります。一般的に慰謝料と言われるものです。

【事故物件の売主の責任】
事故物件は、心理的瑕疵のある物件であることから、売主がこの事実を隠して買主に売却し、引き渡した場合には、契約の内容に適合していないとして契約不適合責任を負うこととなります。契約不適合責任は、債務不履行責任の特則として売主に認めたものです。そのため、買主は、契約不適合を理由に売買契約を解除することもできますし、損害賠償請求をすることもできます。(民法第564条、第415条、第541条、第542条)。

4.まとめ

事故物件・心理的瑕疵が何かについて、法律上の明確な基準はありません。
しかし、最近では殺人・自殺以外で、孤独死があった場合も事故物件と扱われている場合があるようです。

不動産仲介業者は、殺人、自殺等があった旨を告げる告知義務を不動産の買主又は借主に負います。義務に違反した場合には、行政上、刑事上、民事上の責任を負うこととなります。

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