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不動産の競売・共有

共有名義のよくある不動産トラブルを解説

夫婦で共同して不動産を購入したり、不動産を親族共同で相続したりする場合があります。
この場合には、その不動産は共有名義になります。

もっとも、共有名義の不動産をめぐっては様々な法律上の問題が生じます。

この記事では、共有名義のよくある不動産トラブルについて解説していきます。

1.共有不動産を利用するときのトラブル例

例えば、ABCの3名で共有する不動産の各共有持分権が3分の1ずつの場合を考えてみましょう。

Aが不動産を利用したいと希望する場合、例えば、共有持分権3分の1があるから、土地の3分の1を貸駐車場にしようと思っても、Aが勝手に実行することは許されません

共有持分権3分の1というのは、その土地のうち3分の1の面積にあたる特定の部分を所有しているという意味ではなく、その土地に対する潜在的な観念上の権利を持っているというだけに過ぎないからです。

共有地を貸駐車場とすることは、駐車場の借主との間で土地の賃貸借契約を締結することなので、共有物の「管理行為」として、共有者の共有持分権の過半数の賛成が必要です(民法252条前段)。

この意味で、共有持分権というのは、共有物の使い方を決めるための投票権の大きさと考えると理解が容易でしょう。

したがって、Aが第三者Dとの間で貸駐車場契約を結ぶには、少なくともBまたはCのどちらかの同意を得なくてはならず、同意がないのに結んだ契約は無効です。
BとCは、Dに対して「車をどかせ」と請求することが可能となります。

しかし、例えば、Aが同意なくDとの間で土地上に建物を所有する目的での土地賃貸借契約を結んでしまい、実際にDが建築してしまった場合はどうでしょう。

この場合も、土地賃貸借契約は無効であって、BとCは、Dに対して、建物を収去しろと請求でき、Dはこれに従わざるを得ません。

ただDは、無駄になった建築費用、解体撤去費用、引越代、仲介手数料、店舗などの営業に利用する目的での賃貸借契約だった場合には営業補償なども含めて、Aに対して損害賠償請求をすることが可能となります。

もちろん、これに加えて、AはDから受け取った権利金、賃料、保証金も返還しなくてはなりません。こうなるとAが補償しなくてはならない金額は多額となってしまいます。

このような事態を避けるためには、BとCから、必ず事前に書面による同意を取り付けておかなくてはなりません。

【BとC両方から書面による同意を得ておくべき】
なお、共有地について建物所有を目的とする土地賃貸借契約を締結すると、借地借家法の適用によって借主が保護される結果、土地共有者は相当長期間(借地借家法3条では30年間)にわたって、契約の拘束を受けることが通常であり、その利益に影響するところが大きいため、このような契約は、共有持分権の過半数で決める管理行為ではなく、共有者全員の同意が必要な変更行為であると理解するべきでしょう(251条)。
したがって、この場合は、Aは、共有持分権の価格にかかわらず、BとC両方から書面による同意を得ておく必要があります。

[参考記事] 共同名義のアパートを賃貸に出すにはどうすれば良い?

2.共有者に相続が起きたときのトラブル例

上の例で、共有者Cが死亡し、その相続が発生した場合、Cが遺言を残していなければ、法定相続人が法定相続分に従いCの共有持分権を承継することになります。

例えば、Cに妻C1、長男C2、次男C3がいた場合、その法定相続分は、妻C1が2分の1、長男C2と次男C3が、それぞれ4分の1です。

そうなると、この共有土地は、A:3分の1、B:3分の1、C1:6分の1、C2:12分の1、C3:12分の1、という共有持分権となります。

この場合、Aが土地を売却するには、B、C1、C2、C3という全員の同意が必要となりますし、貸駐車場にするには、Bの同意を得るか、C1・C2・C3の同意が必要となります。

もちろん、C1、C2、C3の遺産分割協議で、妻子のうち、誰か1人だけがCの共有持分権を相続することに決まれば良いのですが、そうでない限り、共有者が増えた状態が継続することになります。

万一、C2が死亡して、その妻子が相続するという事態が発生すれば、さらに共有者が増加します。共有状態をそのままにしておけば、いずれは各共有者の相続、さらに二次相続が発生しますから、際限なく共有者が増加し収拾がつかなくなります

このような事態を避けるには、何よりも共有状態を早期に解消しておくことが一番です。

3.共有不動産を分割するときのトラブル例

共有状態を解消するために行われるのが、共有財産の分割です。

相続で不動産を共有するに至った場合は「遺産分割協議」(907条1項)で、それ以外の原因で不動産を共有するに至った場合は「共有物分割協議」(256条1項)で、当事者が話し合って共有状態を解消します。
話し合いがまとまらないならば、裁判所での遺産分割調停・審判(907条2項)、共有物分割請求調停・訴訟(258条1項)で、分割方法を決めることができます。

とはいえ、遺産分割協議や共有物分割協議においても、共有不動産の分割は簡単に決まるものではありません。

土地の分割方法には、①現物分割、②代償分割、③換価分割がありますが、どれも難点があります。

現物分割は、土地を物理的に分けることになりますが、同じ面積ならば、どの部分でも同じ価値というわけにはいきません。
北向きか南向きか、角地か否か、接道状況、形状、傾斜の有無など、様々な要素によって価値は異なりますから、誰がどこをどれだけとるかで紛糾します。

代償分割も同じことで、土地を取得して代償金を支払う者は土地の価額を安く主張し、代償金を受け取る者は高く主張して譲らないでしょう。

換価分割は土地を売却して代金を分割するので、土地の価格をめぐる争いは回避できますが、分割のために売り急げば買いたたかれ全員が損をします。
また、そもそも幾らなら売却して良いかをめぐって意見が一致しないケースもあります。

例えば、裁判所における遺産分割の実務などでは、次のように知恵を絞って解決しています。

①まず不動産の価額を評価する方法について当事者に合意させて、評価方法について後で文句が言えないようにし、②次に、その方法で評価を算出して、その評価額について合意させ、これも後から評価額に対する異論が出ることを封じておき、③最後に具体的な分け方を協議させるという方法です。

このように、ひとつひとつ段階を踏んで問題となりがちな論点を解決していき、「議論を後戻りさせない」という進行方法を採用してスムーズな解決を目指しているのです。

4.夫婦で不動産を共有するときのトラブル例

住居が夫婦の共有名義という例は珍しくありません。夫婦円満のうちは問題ありませんが、別居、さらに離婚と進む場合、共有名義であることがトラブルを生むことがあります。

例えば、マンションの共有持分権が夫2分の1、妻2分の1というケースでは、離婚時の財産分与でどちらかが単独でマンションを取得する、処分して現金でわけるなどの方法で分与をしておかないと、籍が抜けた二人の共有状態がずっと続くことになります。

持分が半分ずつですから、このマンションを使用するにも売却するにも、元夫婦の意見の一致が必要になり、話はなかなかまとまりません。

住宅ローンを組んでいた場合には、その支払が困難となったときに任意売却の話をスムーズに進めることが困難となり、競売で安価に処分されてしまい、多額の負債だけが残るという最悪の事態にもなりかねません。

このような事態を防止するには、何よりも離婚の財産分与の時点で共有状態を解消しておくことが肝要です。

財産分与は当事者の協議で決めますが、協議で決められない場合には、家庭裁判所の調停、審判で決めてもらうことができます(768条)。

[参考記事] 夫婦共同名義の家・住宅ローンは離婚時にどう分ける?

5.共有者が共有不動産を勝手に売却したときのトラブル例

共有不動産について、共有持分権の登記をしておかないとその権利を失ってしまうケースがあります。

次のような例です。

被相続人甲の遺産である土地を、長男Aと次男Bが相続し、遺産分割協議によって、この土地については、Aが80%の共有持分権、Bが20%の共有持分権を相続することになりました。

ところが、Aが共有持分権の登記をしない間に、Bは勝手に法定相続分だった50%の共有持分権を有しているとの相続登記を行ったうえ、その共有持分権を第三者Dに売却してしまいました。買主Dは共有持分権50%の所有権移転登記を完了しました。

この場合、Aは自己の法定相続分であった50%を超えて相続した30%分の共有持分権をDに対して主張することはできず、土地の共有持分権はAとDが50%ずつ有することになります(899条の2第1項)。

もちろん、Aは、Bに対して損害賠償請求をすることが認められますが、Dから共有持分権30%を取り戻すことはできないのです。

この理は、法定相続分を超える共有持分権を取得した原因が遺言による場合でも同じです。
したがって、不動産について法定相続分を超える相続をした場合には、速やかに登記することが肝要です。

6.まとめ

共有財産には制約が多く、ひとたび人間関係が悪くなると円滑な利用や処分が妨げられ、却ってお荷物となってしまいがちです。

資産活用という意味では、むしろ早期に分割し、金銭なり単独で所有する不動産なりに置き換えてしまう方が安心です。

共有物をめぐるトラブルを予防するための遺産分割、財産分与などについては、泉総合法律事務所の弁護士に是非ご相談ください。

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