敷地延長・路地状敷地のメリット、建築制限、トラブル例を解説
マイホームの購入を検討するとき、「路地状敷地は安い」という話を聞いたことはあるでしょうか。
マイホームを購入するなら、できる限り費用は抑えておきたいところですが、安いのにはそれなりの理由がありそうです。
この記事では、路地状敷地に関する問題について解説していきます。
1.敷地延長、路地状敷地とは?
ある土地が、狭い通路を通じて道路に出ることができるような形状になっているとき、その通路の部分を「敷地延長」といいます(そのような通路を持つ土地全体を敷地延長と言うこともあります。)。
土地の形状が竿に旗を付けたような形をしていることから、「旗竿地」と言われたり、「路地状敷地」と呼ばれることもあります。
【なぜ路地状敷地はできるのか?】
例えば、100坪の土地を売却することを想像してみてください。100坪の土地は、一般人が購入するには高額であるため、なかなか直ぐに売ることはできません。そのため、需要のある50坪になるように、土地を分割して販売することが考えられます。
綺麗に土地を分割することができれば問題ないのですが、長方形の形をした土地であれば、間口が狭いため、どうしても綺麗に分割することは難しくなります。そこで、その土地の形状を旗竿地にして販売することとなったのです(前面の綺麗な土地の方が、もちろん価格は高くなります)。
2.路地状敷地のメリット
(1) 比較的安く土地を購入できる
まず、路地状敷地は、比較的安く土地を購入できるというメリットがあります。
路地状部分があることにより減価率が変わり、その結果安くなるのです。
(2) 静かな環境で住みやすい
路地状敷地は、比較的静かな環境であり住みやすいというメリットもあります。
幹線道路沿いの土地などは車両交通量が多いため、住宅地としてはあまり人気がない傾向にあります。
しかし、路地状敷地は奥に入っていることから、比較的静かで車の通行をそれほど気にしなくて良いことになります。
(3) プライバシーが保護されやすい
路地状敷地は、奥に入っていることから周りが建物であり、通行人等から見られることがなく、プライバシーの観点からもメリットがあるといえます。
3.路地状敷地のデメリット
(1) 日当たり・風通しが悪い
路地状敷地は、周りが建物であるため、日当たりが悪いというデメリットがあります。
日当たりが悪いと、洗濯物が乾きにくかったり、部屋が暗かったりと、なにかと不便となります。
また、風通しも悪いというデメリットが考えられます。
(2) 水道管や電線などが届いていないことがある
路地状敷地は、水道管や電線などが届いていないことも多くあります。そのため、これらを設置するために、別途で工事費用がかかることがあります。
せっかく安く土地を購入できたのに、水道管や電線を通すために別途で工事費用が発生してしまうと、あまり「お得感」がなくなってしまうでしょう。
(3) 建築制限により用途が限られてしまう
路地状部分の幅が2m確保できないと、建築基準法の接道義務を満たせないため、建築が不可能な土地となります。
そのため、路地状部分の用途はほとんど「駐車場にする」などに限られてしまうといったデメリットがあります。
【路地状部分の建築制限】
建築基準法では、幅員4m以上の道路に2m以上接道していれば、敷地に建物を建築できることになっています。
しかし、基本的には建築基準法による制限にとどまらず、地方公共団体の条例において、さらに制限が加えられている場合があります。
地方公共団体の条例による制限の内容は、地方公共団体によって異なります。また、地方公共団体によっては制限がない場合もあります。そのため、気になる場合は、お住いの地方公共団体のホームページなどをご覧になってください。
4.路地状敷地によるトラブル例
古くからの住宅地などでは、接道義務を満たさない路地状敷地が多く存在します。
路地状敷地によるトラブルとして、古い住宅地にありがちな接道義務を満たさない路地状敷地によるトラブルを一つ紹介します。
<事例>
高齢のXさんは、両親が亡くなった後に実家を相続し、実家を自分の自宅として住み続けていました。相続した実家の建物は、相続時にすでに築60年以上が経ちとても古い状態だったので、Xさんは建物の建て替えを検討していました。
しかし、実家の敷地はいわゆる路地状敷地であり、しかも通路の幅は狭く約1.8mしかなかったため、接道義務を満たしていませんでした。そのため、Xさんは建物を建て替えたくても建て替えることができない状況にありました。
Xさんは隣地のYさんに、Xさんの通路に接する部分を幅20㎝分売ってほしいと何度もお願いしていましたが、Yさんが売ってくれることはありませんでした。これにより、XさんとYさんの関係は悪くなってしまいました。
このように、古い建物を建て替えたくても、隣地の方が土地を少しも売ってくれないような場合は、建物をいつまで経っても建て替えることができず、トラブルが起きやすい状況になってしまいます。
5.まとめ
路地状敷地は、比較的安く土地を購入できる一方で、日当たりや風通しが悪いといったデメリットも存在します。また、建築制限が設けられており、融通が利かないこともあります。
路地状敷地の購入を検討する際には、お住いの地方公共団体のホームページなどを調べてみることをオススメします。
メリット・デメリットを考慮して、路地状敷地の購入を検討するようにしましょう。