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事業用定期借地権とは?土地活用に当たってのメリット・デメリット

都市部に立地の良い土地を所有している場合には、「事業用定期借地権」を設定して土地活用を行うことも有力な選択肢です。

事業用定期借地権は、通常の借地権に比べて借地借家法による規制が緩やかなので、地主にとっては柔軟に土地活用ができるメリットがあります。
その一方で、事業用定期借地権に特有のデメリットも存在するので、他の選択肢と並べて、どのように土地活用を行うべきかを比較検討しましょう。

今回は、事業用定期借地権の概要・メリット・デメリットなどを解説します。

1.「定期借地権」とは?

定期借地権とは、更新がない旨を定めた借地契約に基づいて設定された借地権です。

借地権者には原則として、借地契約の更新請求権が認められています(借地借家法5条)。
また、地主が借地契約の更新を拒絶するには、正当の事由が要求されるのが原則です(同法6条)。

定期借地権は、借地契約の更新に関して、地主に厳しい借地借家法の規制を取り払い、より柔軟に土地活用を行えるようにするために設けられています。
借地借家法所定の方法によって定期借地契約を締結することにより、上記の借地契約の更新に関するルールが適用除外となるのです。

定期借地権には、存続期間を50年以上とする「一般定期借地権」(同法22条)と、後述する「事業用定期借地権」(同法23条)の2種類があります。
また、借地借家法の規定の一部を適用除外する借地権の類型としては、他にも「建物譲渡特約付借地権」(同法24条)と、「一時使用目的の借地権」(同法25条)が存在します。

(※事業用定期借地権以外の3つについては、本記事では割愛します)

[参考記事] 定期借地権について|契約期間とメリット・デメリット

2.「事業用定期借地権」とは?

「事業用定期借地権」とは、契約の更新が定めのない定期借地権の中でも、専ら事業の用に供する建物の所有を目的として設定されるものをいいます。

(1) 事業用の建物しか建築できない

事業用定期借地権設定契約では、土地使用の目的が、事業の用に供する建物の所有に限定されます。

そのため借地権者は、それ以外の用途で土地を使用することができません。
マンションや戸建て住宅などの居住用建物を建築・所有することも不可となります。

(2) 存続期間は10年以上50年未満

事業用定期借地権の存続期間は、10年以上50年未満の範囲で設定できます。

したがって、50年以上の期間を定めた場合は、事業用定期借地権としては認められません(ただし、一般定期借地権として認められる余地はあります)。

(3) 借地借家法の規定が一部修正される

事業用定期借地権については、契約更新等に関する借地借家法の強行規定が適用除外となります(借地借家法231項、2項、3条~8条、18条)。
さらに、建物買取請求権の規定も適用されません(同法13条)。

存続期間が10年以上30年未満の事業用定期借地権については、上記の規定は自動的に適用除外となります。

これに対して、存続期間が30年以上50年未満の事業用定期借地権については、以下の3点を契約中に定めることにより、適用除外の効果が発生します。

  • 契約の更新がないこと
  • 建物の築造による存続期間の延長がないこと
  • 建物買い取り請求をしないこと

(4) 公正証書による契約締結が必要

事業用定期借地権の設定契約は、公正証書によって締結することが必須となります(借地借家法233項)。
したがって、単に当事者間だけで契約書を締結したとしても、事業用定期借地権としての効力は発生しません。

ただし、公正証書ではない方式によって締結された契約の内容によっては、通常の借地権が設定されたものと認められるケースがあります。

その場合、借地借家法における契約更新や建物買取請求権等の規定が適用除外されず、当事者が予期せぬ結果となってしまうおそれがあるので注意が必要です。

3.事業用定期借地権のメリット

事業用定期借地権を設定して土地を活用する場合、地主の立場としては、主に以下のメリットがあります。

(1) 撤退リスクが低く長期間にわたって安定収入を得られる

事業用定期借地権者は、オフィスビル・商業施設・工場などの事業用建物を、多大なコストをかけて建築することになります。
その際の投下資金は、中長期的な期間をかけて回収するのが一般的です。

したがって、少なくとも数年程度で借地権者が撤退してしまう可能性は低く、地主としては安定した地代収入を得ることが期待できるでしょう。

(2) 居住用よりも高額な地代を設定しやすい

オフィスビル・商業施設・工場などの敷地となる事業用地の地代は、マンションや戸建住宅の敷地となる居住用地よりも高額になる傾向にあります。

そのため、事業用定期借地権を設定する場合、地代を高めに設定しやすい点が、地主にとっての大きなメリットです。

(3) 初期投資が不要

事業用定期借地権を設定する場合、地主は単純に土地を貸すだけでよく、自ら建物を建築する必要がありません

そのため、すでに土地を所有していれば、地主は初期投資を行う必要がなく、契約締結後すぐに地代を受け取ることができます。

(4) 借地借家法の厳しい規制を回避できる

事業用定期借地権には、契約更新がないため、期間満了後は土地を更地で返してもらうことができます。
この点は、契約の更新拒絶に正当な事由が要求される通常の借地権と比べて、地主にとって大きなメリットでしょう。

また、契約終了時に土地上の建物を買い取る必要がないため、地主は買取費用や解体費用などを負担せずに済みます

このように、借地借家法の厳しい規制を回避できるため、地主の法的・経済的な負担が軽く済む点は、事業用定期借地権のメリットと言えます。

4.事業用定期借地権のデメリット

上記の各メリットが存在する一方で、事業用定期借地権にはデメリットも存在します。

以下の各デメリットを十分に踏まえたうえで、事業用定期借地権による土地活用を行うべきか、それとも別の選択肢をとるべきかをご検討ください。

(1) 公正証書の作成に手間と費用がかかる

前述のとおり、事業用定期借地権の設定契約は、公正証書によって締結しなければなりません(借地借家法233項)。

公正証書を作成するには、公証役場に案文を提出してやり取りを行う必要があります。
不慣れな方にとっては、公証役場とのやり取りが面倒に感じられるかもしれません。

また、公正証書を作成する際、公証役場に対して手数料を納付しなければなりません。
手数料は地代の金額によって決まりますが、地代が高額の場合には、公証役場に支払う手数料も高額となるので注意が必要です。

(2) 自ら建物を建築する場合に比べると、利回りが下がる

事業用定期借地権を設定して地代を受け取ることは、地主にとって比較的低リスクであるものの、自ら建物を建築する場合よりは利回りが低くなる傾向にあります。

リスクをとってでも利回りを重視したい場合には、地主が自ら建物を建築して、建物をテナントに貸し出す方針をとった方がよいかもしれません。

(3) 相続税の減額効果が小さい

土地に借地権を設定すると、土地(地主の所有権)の相続税評価額が減少します。

借地権者は借地借家法で強力に保護されているため、借地権には財産的価値が認められています。
その反面、借地権の負担がある土地の価値が減少すると解されているのです。

[参考記事] 借地権割合とは?相続税への影響や調べ方

土地の相続税評価額が減少すれば、それに伴って相続税の金額も減少するため、節税効果が期待できます。
しかし、事業用定期借地権の場合、通常の借地権よりも借地借家法による保護が弱いため、相続税の減額効果が小さいのが難点です。

通常の借地権が設定された土地については、相続税評価額が更地の3090%となります。
これに対して、事業用定期借地権の場合、相続税評価額は、残存期間に応じて更地の8095%までしか圧縮されません。

このように、事業用定期借地権を設定したとしても、土地の相続税評価額を下げることによる相続税の減額効果は小さい点に注意が必要です。

節税効果を目的としている場合には、事業用定期借地権ではなく、通常の借地権を設定する、建物を建築して借家ビジネスを行うなどの別の方法を検討しましょう。

(4) 借地権者が破綻するリスクがある

事業用定期借地権を設定した場合において、万が一借地権者が破綻してしまうと、事態の収拾が困難になります

借地権者について破産手続きや民事再生手続きなどが開始すると、地代の回収はほとんど見込めなくなります。

その一方で、土地上に事業用の大規模な建物が残った状態となり、解体されるまでは他の人に土地を貸し出すこともできません。
場合によっては数年間、固定資産税などの費用が発生する一方で、地代を全く受け取れないという事態にもなりかねないのです。

事業用定期借地権を設定する場合には、借地権者の財務状況などを十分に審査し、破綻のリスクが低いことを確認してから契約すべきでしょう。

5.事業用定期借地権による土地活用は専門家に相談を

事業用定期借地権を設定する際には、借地借家法との関係において、地主が注意すべき点がたくさんあります。

また、事業用定期借地権にはメリット・デメリットの両面が存在します。
そのため、他の土地活用の方法(通常の借地権を設定する・自ら建物を建築して貸し出すなど)との間で、比較検討を十分に行うことが大切です。

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