サブリース業者とのサブリース契約に借地借家法は適用される?
1.適用されるために生じるオーナー側のリスク
結論から言うと、サブリース契約に借地借家法は適用されます。
しかし、サブリース業者に所有物件を貸し出すオーナーの方は、借地借家法が賃貸人に課している規制を受けるリスクに注意しなければいけません。
- サブリース業者から賃料の減額を請求される(借地借家法32条)
- 契約更新を拒否しようとしても正当事由がないと認められない(借地借家法28条)など
上記二つの条文は、特約にかかわらず適用される「強行規定」です。
たとえば、サブリース業者との契約書に「賃料は減額しない」と記載されていても、諸般の事情を総合考慮した結果、賃料が減額されてしまうおそれがあります。
2.問題の発生と最高裁判決
もともと、賃料に関する特約、「賃料保証特約」や「賃料自動増額特約」は、サブリース業者がオーナー勧誘のためにサブリース契約で一般化させたものです。
しかし、バブル経済崩壊後の入居者減少により経営が圧迫されたサブリース業者は、サブリース契約も建物賃貸借契約なのだから借地借家法が適用される、よって借地借家法32条にもとづいて賃料減額請求できるとして、各地で訴えを起こしました。
オーナー側は、サブリース契約は賃貸借契約とは異なる特殊な契約だと主張して、借地借家法は適用されないとして争いました。
実際、各地の裁判所は異なる判断をしていました。
最終的に、最高裁判所はサブリース契約に借地借家法32条が適用されると判断しました(平成15年10月21日判決など)。
その後、最高裁判所の判断ではありませんが、更新拒絶では正当事由が必要とする借地借家法28条もサブリース契約で適用されるとする判決も出ています(札幌地方裁判所・平成21年4月22日判決)。
3.現状など
いわゆる「サブリース新法」(令和2年12月15日施行)に関して国土交通省が策定した「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」でも、禁止されている誇大広告・不当勧誘、契約締結前に書面に記載してオーナーに説明が義務付けられたリスク事項などにつき、借地借家法32条による家賃減額請求、借地借家法28条による正当事由の適用を前提とした規制内容の具体例が記載されています。
参考:国土交通省HP|サブリース事業適正化ガイドラインの策定
なお、サブリース業者と入居者との契約にも借地借家法が適用されます。