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自分でできる?不動産登記の手続き方法・種類・必要書類などを解説

建物を建てる、不動産を買う、売る、不動産を担保にお金を借りるなどするときは、法務局で「不動産登記」というものをする必要があります。

不動産登記の専門家といえば司法書士です。過去に不動産登記を変更したことがある人は、司法書士に依頼して手続きを代行してもらったのではないでしょうか?

「不動産登記は司法書士じゃないとできない」と思っている人もいるようですが、実は司法書士に依頼せずに自力で行って構いません。

この記事では、自分で行う不動産登記について解説していきます。

1.不動産登記とは?

まずは不動産登記について、できるだけ分かりやすく説明します。

(1) 登記の意義

2021年5月現在、不動産登記をしなければならないという義務はありませんが、自分の不動産を守るには不動産登記をする必要があります。

例えば、売主が同じ不動産を同時に別々の人へ売却したとします。この場合、不動産の所有権を主張できるのは、「最初に不動産登記の手続きをした人」です。
すなわち、登記の先後によって優先順位が決定づけられてしまいます。

不動産登記は「この不動産の権利は自分にある!」と主張するための大切な手続きです。不動産を手に入れたら最優先で行いましょう。

(2) 不動産登記の種類

不動産登記には以下の種類があります。

表題登記

不動産登記簿は「表題部」と「権利部」に分かれています。

表題部には、所在地、現況、種類、建物の構造、床面積など、不動産に関する基本的な情報が記されます。

建物を新築したときは、それまでこの世になかった不動産が新しく生み出されたことなるため、その情報を表題部に登記する必要があります。これを「表題登記」と言います。

表題登記の実施は義務化されており、建物の新築から1ヶ月以内に行わなければなりません。

なお、表題登記の手続きができる専門家は、司法書士ではなく「土地家屋調査士」です。

所有権保存登記

ここからは権利部に行う登記について説明します。

新築された建物について初めて行われる登記が「所有権保存登記」です。その不動産の最初の所有者が登記簿に載ることになります。

この登記は表題登記の完了後に行います。ローンを利用して建物を新築した場合などは、ローンの債権者が建物に抵当権を設定する都合上、必ず所有権の保存登記を求められます。

基本的に新築の建物に対して行うことが多い所有権保存登記ですが、ごく稀に土地に対して行うこともあります。例えば新しくできた埋立地などは、それまで誰も登記したことがない土地であるため、所有権保存登記の対象となります。

所有権移転登記

不動産の所有権者が変わったときに行う登記です。

例えば不動産を売買したときは、売主の登記名義から買主の名義に変更するための所有権移転登記を行う必要があります。

移転登記をしておけば、同じ売主から同じ不動産を買った人に対して「この不動産は自分のものだ!」と主張できるようになります。反対に、他の人が先に移転登記をしてしまうと、不動産を購入したにも関わらず、権利を主張できないことになってしまいます。

その他、贈与や相続によって不動産の所有者が変更した場合も、所有権移転登記が必要です。贈与による贈与税の申告の際には所有権移転登記完了後の謄本が必要ですし、相続した不動産を第三者に売るためには相続登記を終わらせておかなければなりません。

特に相続時の移転登記については放置されがちで、登記が古いままになっている不動産の増加が問題になっています。

抵当権設定登記

お金を借りるときに不動産を担保に差し出すことがあります。

代表的なのは住宅ローンです。住宅ローンの債権者は住宅に抵当権を設定し、債務者が支払不能になったときに住宅を競売に出して債権を回収します。
その不動産に抵当権があることを公にするために行う登記が抵当権設定登記です。

抵当権設定登記をすることで、その不動産に抵当権が設定されていることが他人からもわかるようになります。

抵当権は同じ不動産に複数設定できます。不動産を売却して債権を回収するときは、基本的に抵当権の番号が小さい方から優先してお金を得ることができます。
そういった権利関係を示すために、抵当権の登記は重要なものとなっています。

抵当権抹消登記

不動産を担保にして借りていたお金を完済したときに行う登記です。
これをしなければ登記上は抵当権が設定されたままになるため、売買のときなどに支障が出てしまいます。

2.自分で不動産登記を行う方法・必要書類

自分で不動産登記をする場合、必要書類を揃えて管轄の法務局に「本人申請に来ました」と言えば、職員の人が親切に教えてくれます。
そのため、ここでは主に必要書類について紹介していきます。

なお、かつては印鑑証明書が必要でしたが、令和2年3月の法改正によって、以下の要件を満たした場合は法人などの印鑑証明書の添付を省略できるようになりました。

  • 法人の代表者かその代理人が申請書等に記名押印すること
  • 当該法人の会社法人等番号を申請情報の内容とすること

印鑑証明が不要になるのは法人などの場合なので、個人で申請する場合は発行後3ヶ月以内の印鑑証明書を持っていきましょう。

(1) 表題登記の必要書類

表題登記の手続に必要な書類としては以下のようなものがあります(必要書類は、登記をする法務局や条件によって変わる可能性があります。)。

  • 住民票
  • 印鑑証明書(不動産を共有している場合のみ。共有者全員分必要)
  • 建物表題登記申請書(ネットからDL可能)
  • 不動産の場所を示す地図(インターネットの地図を印刷して建物の位置に◯をつけても可)
  • 建築確認通知書と検査済証(施工会社から発行してもらう)
  • 工事完了引渡証明書(施工会社から発行してもらう)
  • 施工会社の登記事項証明書と印鑑証明(表題登記を申請する法務局と施工会社の法人登記をした法務局が異なる場合のみ)
  • 建物図面と各階平面図

最後の建物図面と各階平面図は、作成が難しい場合は施工会社や土地家屋調査士などに用意してもらってもいいでしょう。
なお、表題登記には後述する登録免許税がないので、支払う必要はありません。

(2) 所有権保存登記の必要書類

  • 住民票
  • 所有権保存登記申請書(法務局のサイトからダウンロード)
  • 住宅用家屋証明書(表題登記完了後に建物の住所を管轄する役所で入手)
  • 特定認定長期優良住宅の場合は、認定申請書の副本と認定通知書のコピー

(3) 所有権移転登記の必要書類

  • 住民票
  • 印鑑証明書
  • 所有権移転登記申請書(法務局のサイトからダウンロード)
  • 固定資産評価証明書(売主か贈与者または相続人が用意)
  • 登記済証または登記識別情報通知書(売主か贈与者が用意)
  • 売買の場合、売買契約書など(所有権移転の原因が売買だとわかるもの)
  • 贈与の場合、贈与契約書など(所有権移転の原因が贈与だとわかるもの)
  • 相続の場合、故人の戸籍謄本か除籍謄本
  • 相続の場合、相続人の戸籍謄抄本
  • 相続の場合、遺言書やその検認調書、遺産分割協議書など

(4) 抵当権設定登記の必要書類

抵当権設定登記については、債権者である抵当権者が債務者の本人申請を認めず、債権者と債務者が同一の司法書士に依頼して行うケースが大半です。

抵当権が設定される理由などによって必要書類が異なることも多いため、一般人が抵当権設定登記を行うとミスが多く、それによって融資が遅れるおそれがあります。
そのため、司法書士を使うことが一般的で、自分で抵当権設定登記を行うことはほとんどないでしょう。

代表的な必要書類は以下の通りですが、司法書士がいる場合は印鑑証明書と実印だけで足りることが多いです。

  • 抵当権設定登記申請書(法務局のサイトからダウンロード)
  • 抵当件設定契約書(住宅ローンの場合は金融機関が用意)
  • 印鑑証明書
  • 登記済証か登記識別情報通知(建物の購入と同時に抵当権設定登記を行う場合は不要)
  • 融資してくれる金融機関の資格証明書
  • 住宅ローンの場合などは、住宅用家屋証明書

(5) 抵当権抹消登記の必要書類

数ある登記の中でも比較的簡単で、一般人が初めて自力で手続きするのに向いています。
不動産1件につき1000円の登録免許税を納める必要があります。

  • 抵当権抹消登記申請書(法務局のサイトからダウンロード)
  • 登記済証または登記識別情報
  • 登記原因証明情報(抵当権解除証書など。借金完済時に債権者から送付してもらう)
  • 融資を受けた金融機関の委任状・資格証明書
  • 登記事項証明書(法務局で入手)

3.不動産登記の費用

表題登記以外の不動産登記をする際には、「登録免許税」を納めなければなりません。
登録免許税の金額は「不動産の価値×税率」という式で計算できます。期間限定で軽減税率が設定されているので、そちらも併記します。

(1) 土地の所有権移転登記の登録免許税

登記変更原因 税率 軽減税率
売買 2% 1.5%(令和5年3月31日まで)
相続・法人の合併・共有物の分割 0.4%
その他 2%

(2) 建物の不動産登記の登録免許税

登記の種類 税率
所有権の保存 0.4%
売買による所有権移転登記 2%
相続や法人合併による所有権移転登記 0.4%
その他の原因による所有権移転登記 2%

(3) 住宅用家屋の軽減税率

一定の要件を満たした住宅用家屋の不動産登記には軽減税率の適用があります。

軽減税率の適用を受けるには、登記を申請する際に住宅の所在地の市町村等が発行する証明書を添付しなければなりません。登記後に証明書を提出しても軽減税率は適用されないのでご注意ください。

登記の種類 要件 軽減税率
住宅用家屋の所有権の保存登記 個人が住宅用家屋を新築または建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合 0.15%(令和4年3月31日まで)
住宅用家屋の所有権の移転登記 個人が売買や競売によって住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合 0.3%(令和4年3月31日まで)
特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等 個人が認定長期優良住宅を新築または建築後使用されたことのない認定長期優良住宅を取得し、自己の居住の用に供した場合 0.1%(一戸建ての特定認定長期優良住宅は0.2%)
(令和4年3月31日まで)
認定低炭素住宅の所有権の保存登記等 個人が認定低炭素住宅を新築または建築後使用されたことのない認定低炭素住宅の取得し、自己の居住の用に供した場合 0.1%(令和4年3月31日まで)
特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記 個人が宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の住宅用家屋を取得した場合 同上
住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記 個人が住宅用家屋の新築(増築を含む。)または住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合において、これらの住宅用家屋の新築若しくは取得をするための資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記 同上

4.自分での登記が心配なら専門家へ

自力で不動産登記をするには書類集めが肝心です。手続きの方法は法務局で教えてもらえます。
できれば前もって法務局に問い合わせて、必要書類について確認しておきましょう。

確かに、自分で不動産登記をすれば司法書士への報酬を節約できます。
しかし、「手間をかけたくない」「時間を節約したい」「失敗したくない」という方は、登記を司法書士などへの専門家へお任せすることをお勧めします。

泉総合法律事務所は、各専門家と連携し、不動産に関するお悩みをトータルでサポートすることが可能です。

不動産に関する問題でお困りの方は、ぜひ一度当事務所の無料相談をご利用ください。

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