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入居者トラブル

入居者が勝手に賃貸物件を民泊化|賃貸人側の対処法は?

賃貸物件の入居者(賃借人)が、その一室を勝手に民泊化し、観光客などを宿泊させていた場合、賃貸人はどのように対処すれば良いのでしょうか。

放置すれば、賃貸物件全体の治安が悪くなったり、居室が荒廃したりするおそれがあるため、早急な対処が必要です。
対処法に迷った場合には、お早めに弁護士までご相談ください。

この記事では、賃貸物件の居室を勝手に民泊化した入居者がいる場合に、オーナーがどう対処すべきかについて解説します。

1.民泊に関する許認可制度

まず、民泊に関する前提知識として、民泊営業を規制する許認可制度について解説します。

結論としては、民泊営業には行政による許可または行政への届出が必要であり、いずれも行われていない場合は違法営業となります。

(1) 原則|簡易宿所営業の許可が必要

旅館業法上、いわゆる「民泊」は、旅館業の一つである「簡易宿所営業」に該当します(旅館業法2条3項)。

簡易宿所営業を含む旅館業を営もうとする者は、都道府県知事(保健所を設定する市・特別区の場合は、市長または区長)の許可を受けなければなりません(3条1項)。

よって、民泊営業を開始する際には、原則として上記の許可を受ける必要があります。

(2) 例外|住宅宿泊事業の届出で足りる場合

外国人観光客の増加などにより、民泊へのニーズが高まってきたことから、上記の旅館業法上の許可制については、一定の要件を満たすことを条件とした例外が設けられています。

具体的には、以下の要件を満たす場合には、「住宅宿泊事業」の届出をすれば、民泊営業を行うことができるのです(住宅宿泊事業法3条1項)。

(1)家屋が「住宅」としての以下の①②の要件を満たすこと(同法2条1項、同法施行規則2条)
①台所、浴室、便所、洗面設備、その他の当該家屋を生活の本拠として使用するために必要となる一定の設備が設けられていること
②以下のいずれかに該当するものであって、事業(人を宿泊させるもの又は人を入居させるものを除く。)の用に供されていないものであること
・現に人の生活の本拠として使用されている家屋
・入居者の募集が行われている家屋
・随時その所有者、賃貸人または転借人の居住の用に供されている家屋

(2)人を宿泊させる日数が、1年間で180日を超えないこと

上記の(1)(2)の要件をいずれも満たせば、届出を行うことで旅館業法上の許可が不要となり、民泊営業開始へのハードルは大きく下がります。

(3) 無許可・無届出営業には罰則あり

旅館業の許可、または住宅宿泊事業の届出のいずれも行わずに民泊営業をしている場合、旅館業法違反として刑事罰を科される可能性があります。

無許可・無届出での民泊営業に対して科される罰則は、「6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」またはその両方です(旅館業法10条1号)。

2.勝手な民泊は賃貸借契約に違反する可能性

上記のとおり、民泊には許認可制度上クリアすべき論点が存在します。

それに加えて、賃貸物件で民泊を経営しようとする場合には、賃貸借契約上の整理も同時に問題となります。

賃貸借契約との関係で、民泊営業が問題になり得るのは、主に「用法遵守義務」と「無断転貸」との関係です。

(1) 賃貸借契約上の用法遵守義務

賃貸借契約では、賃借人が賃貸物件を使用するに当たって、契約で定められた用法に従わなければならない旨を定めるのが一般的です。
これを「用法遵守義務」と呼びます。

たとえば、賃貸借契約を締結する時点で、専ら賃借人本人が居住することを目的とした場合には、他人をその賃貸物件に同居させたり、他人に一時的に賃貸物件を使わせたりすることはできません。

特に民泊営業が行われる場合、観光客などの一時的にしか滞在しない利用者によって賃貸物件が使用されることになります。

観光客などにとっては、民泊の物件はいわば「仮住まい」であり、大切に使おうとする意識が低くなりがちです。
その結果、居室が荒廃したり、共用部分で迷惑行為が行われて他の入居者からクレームが入ったりする事態が生じかねません。

また、民泊営業では不特定多数の利用者が想定されるため、悪質な利用者が発生する可能性は常に存在します。
そのうえオーナーは、民泊の利用者に対する入居チェックを行うことも、基本的にできません。

このように、賃借人が賃貸物件を自己使用する場合と、民泊を営業する場合とでは、オーナー側が負うリスクが大きく異なります。

そのため、当初の賃貸借契約では民泊営業を禁止したうえで、勝手に民泊営業が行われた場合には、用法遵守義務違反を追及すべきでしょう。

(2) 無断転貸

さらに、賃借人が民泊営業を行い、利用者に賃貸物件を使わせる行為は、法律上は「転貸」に該当します。

賃借人が賃貸物件を転貸する際には、賃貸人の承諾を得なければなりません(民法612条1項)。
賃借人によって賃貸人に無断で民泊営業が行われていた場合には、「無断転貸」として賃貸借契約の解除事由に当たります(同条2項)。

3.賃貸人の対応方法

賃貸物件において賃借人が勝手に民泊を営業していた場合には、オーナー側はまず、民泊営業を認めるか認めないかの方針を決めなければなりません。
そのうえで、どちらを選択するとしても法律の規定を念頭に置きつつ、適切な交渉戦略をもって対応してください。

(1) 賃料の値上げなどを条件に民泊を許可する

「民泊による他の入居者や周辺住民への影響は許容範囲」と考える場合は、民泊営業を許可することも選択肢になり得ます。

民泊営業を許可するかどうかの選択権は賃貸人(オーナー)側にありますので、許可を交渉材料として、賃料の値上げなどを引き出すと良いでしょう。

(2) 民泊営業をやめるように警告する

賃借人による民泊営業は、すでに解説した通り、居室の荒廃や他の入居者によるクレームなどに繋がるおそれがあります。
そのため、本来居住用のマンションなどであれば、民泊営業をやめてもらう方法で対応するのが一般的でしょう。

賃借人の民泊営業を阻止したい場合には、まず内容証明郵便などを賃借人に送付して、民泊営業をやめるように警告します。
その際、民泊営業をやめなければ法的措置に移行する旨を付記するとよいでしょう。

民泊営業の規模が依然として小さい場合には、賃借人が警告に応じ、民泊営業を取りやめることも十分考えられます。

(3) 賃貸借契約を解除して明渡しを求める

民泊営業をやめるように警告してもなお、賃借人が民泊営業を続けている場合には、賃貸借契約を解除せざるを得ません。

賃貸借契約の根拠としては、すでに解説したように「用法遵守義務違反」または「無断転貸」となります。
賃貸借契約解除の意思表示は、やはり内容証明郵便によって行うのがよいでしょう。

その後、賃貸借契約の終了に基づき、賃借人に対して賃貸物件の明渡しを求めていくことになります。

もし賃借人が、任意に賃貸物件を明渡すことに応じない場合には、弁護士に依頼して建物明渡請求訴訟を提起しましょう。

[参考記事] 家賃滞納で建物明渡請求訴訟を提起したい

4.賃借人の民泊にお困りの不動産オーナーは弁護士に相談を

賃借人が賃貸人に無断で民泊を営業している場合、賃貸人は法的な根拠をもって民泊営業を阻止できる可能性が高いです。

ただし、賃借人が任意に民泊営業の停止に同意しないケースも多いため、最終的には法的手続きを講ずることも視野に入れて対応する必要があります。

弁護士にご依頼いただければ、民泊営業を阻止するための法的根拠の検討・賃借人との交渉・訴訟を中心とした法的手続きなどについて、不動産オーナーを全面的にサポートいたします。

迅速に民泊営業の停止や、賃貸物件の明渡しを実現できるように尽力いたしますので、お早めに弁護士までご相談ください。

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