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不動産と債務整理

債務整理して持ち家は残せる?退去しないといけない?

「自分の支払能力を超えた借金を抱えてしまい、どうやっても返済できそうにない」という場合は「債務整理」をすることで、返済スケジュールの変更や借金の減額・免除が可能です。

しかし、何のリスクもなく借金を減額できるわけではありません。債務整理の方法によっては相応のリスクを覚悟しなければならない場合もあります。
手段によっては、持ち家(マイホーム)を失ってしまうかも可能性があります。

しかし、持ち家を処分せずに済む債務整理もあることは確かです。

今回は、債務整理と持ち家の退去について解説します。

1.債務整理の種類

債務整理には複数の種類があります。まずはそれぞれの債務整理について、簡単に理解しておきましょう。

(1) 任意整理

債権者と個別に交渉して、返済スケジュールの見直しをしてもらう債務整理です。将来発生する利息や遅延損害金などをカットしてもらえます。

日本で最も多く行われている債務整理ですが、減額効果はあまり期待できず、比較的少額の借金を解決する場合に用いることが多いです。

任意整理は交渉をする債権者を選ぶことができますので、住宅ローン債権者を避けて減額交渉をすれば、持ち家を残すことができるでしょう。

(2) 自己破産

裁判所に申立てを行い、全ての借金を0にしてもらう債務整理です。
滞納税金や養育費の支払い等一定の債務は免除されませんが、銀行や貸金業者、クレジットカード会社などからの借金は全て0になります。

その代わり、自己破産をすると一部を除いた自分の財産が裁判所によって処分されてしまいます。処分された財産はお金に換えられて、債権者への弁済に充てられます。

生活必需品などを除くある程度高額な財産が処分の対象となるため、自己破産をするとほとんどの場合は持ち家を失ってしまいます

(3) 個人再生

裁判所に申立てをして、借金を大幅に減額してもらう債務整理です。
借金の総額などにもよりますが、大凡5分の1〜10分の1にまで借金が圧縮されます。その後、原則3年程度の分割払いで借金を返済していきます。

任意整理よりも減額率が高い制度ですが、手続きが複雑なのが難点です。

なお、自己破産と違い、個人再生には財産を処分する規定がありません。
しかし、個人再生には「自己破産したときに債権者が受ける弁済額と同額以上は返済すること」というルールがあります。

財産が多いと個人再生後の支払額が上がってしまいます。場合によっては持ち家を手放して財産を減らし、個人再生後の支払額を減らすことも検討しなければなりません。

【住宅を担保にしている場合は要注意】
借金をするときは「担保」というものを債権者に提供することがあります。担保とは要するに「借金のカタ」です。当初の約定通り返済が行われない場合、債権者は担保を売却するなどして債権の回収を図ります。
例えば住宅ローンを組むときは、住宅そのものを担保にしてお金を借ります。債務者が住宅ローンの返済を滞納すると、債権者は住宅を売って債権を回収するのです。
このため個人再生や任意整理の場合でも、住宅を抵当に入れるなどしてお金を借りていた場合は要注意です。債務整理を行ったと同時に、債権者が抵当権を実行して住宅を売りに出し、債権を回収しようとするためです。
実際にはカードローンなどで住宅を担保にすることはないと思われますが、「持ち家を担保にしている状態で債務整理をすると、持ち家を失う可能性がある」ことは覚えておきましょう。

2.債務整理で持ち家を残す具体策

(1) 個人再生の「住宅ローン特則」を利用する

住宅ローンが残った状態で債務整理をすると、住宅ローンの債権者が抵当権を実行するため、通常は持ち家を失います。

しかし、個人再生には通称「住宅ローン特則」という制度があり、これを利用すれば持ち家を残したまま個人再生することができます。
(ただし、住宅ローンについては個人再生による減額が行われず、従来通り返済しなければなりません。)

「住宅ローン以外の借金を整理できれば、問題なく住宅ローンを支払える」場合であれば、住宅ローン特則を利用するといいでしょう。

住宅ローン特則を使うには、「持ち家に住宅ローン以外の借金に関する抵当権が設定されていない」など、いくつか条件があります。詳しくは債務整理と不動産に詳しい弁護士にご相談ください。

(2) 任意整理は債権者を選べば持ち家を残せる

自己破産や個人再生は「全ての債権者」を対象にしなければなりません。
しかし、先述の通り、任意整理は整理する借金・債権者を選べます。そのため、持ち家を担保として提供している債権者を任意整理の対象から外せば、担保権を行使されずに済むのです。

任意整理の対象から外した借金は従来通り支払う必要がありますが、他の借金を整理すれば問題なく支払えるような状態であれば、この方法を利用しても良いでしょう。

3.親名義の家、家族名義の家は残せる?

ここまでは「債務整理する人が持ち家の名義人である」状態を前提に説明してきました。
では、名義人が違う家の場合はどうなるのでしょうか?

(1) 問題になるのは債務整理する人の財産のみ

まず、自己破産の効果が及ぶのは自己破産をする本人のみであり、他の家族(親や妻、夫など)には影響がありません。

例えば、夫が自己破産をして借金を0にしても、妻が元々抱えていた借金はそのまま残ります。
そして、自己破産で処分される財産の範囲も、破産した人の財産に限られます。

すなわち、夫が自己破産したからといって、妻名義の持ち家まで処分されてしまうわけではありません。

これは個人再生や任意整理の場合も同じです。

(2) 債務整理前の名義変更は「財産隠し」になる

「自分名義の財産だけが処分されるのならば、自己破産前に持ち家を親や妻の名義に変更してしまおう」と考える人もいるようです。
しかし、これは自己破産で禁止されている「財産隠し」に該当します。最悪の場合自己破産そのものが失敗に終わるだけでなく、詐欺破産罪という罪に問われる可能性があります。

個人再生でも同様で、故意に財産を減らして個人再生後の支払額を減らす行為に該当するなどの事情から、直前の名義変更は禁止されています。

もし個人再生に際して、支払額を下げるために財産を処分したい場合は、必ず弁護士に相談してください。

【保証人の財産に影響がある可能性】
「債務整理の効果が及ぶのは債務整理をした本人のみ」と述べましたが、債務の保証人(連帯保証人)は、債務者本人が債務整理をしても保証人のまま従来と変わらぬ義務を負います。
債務者本人が自己破産や個人再生をすると、債権者は保証人に支払いを請求しに行きます。もし保証人に支払能力がない場合、保証人も連鎖的に自己破産などをする必要に迫られてしまいます。
もし保証人が親の場合は、親が連鎖的に自己破産したことによって、親名義の持ち家が処分されてしまいます。妻が保証人であれば妻名義の持ち家が失われてしまうでしょう。
債務整理をする場合は、前もって保証人に話を通しておかなければ、大きなトラブルになるおそれがあります。必ず事前に保証人と相談するようにしてください。

4.不動産を残して債務整理をしたいなら弁護士へ!

自己破産をすると基本的に住宅を失います。持ち家をどうしても手元に残すのであれば、自己破産は避けなければなりません。

持ち家を残しながら高額の借金を解決したい場合は、個人再生がおすすめです。原則財産を処分せずに済み、住宅ローンが残っている場合でも、住宅ローン特則を利用すれば持ち家を手放さずに済みます。

しかし、手元の財産が多すぎると個人再生後の支払額が高額になるというデメリットがあります。場合によっては持ち家の処分も視野にいれなければなりません。

このように、自己破産以外の債務整理であれば持ち家を残して住み続けられる可能性があります。
しかし、不動産を残すには数々の注意点があり、ケースバイケースで対応しなければなりません。

不動産に詳しい弁護士に相談することで、個々のケースにピッタリの方法で債務整理をすることができます。

「借金が多すぎて債務整理をしたいが、持ち家は残したい!」というお悩みがある方は、ぜひ泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。

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