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定期借家契約とは?メリット・デメリットを解説

賃貸物件の情報を調べていると、「定期借家」「定期借家契約(ていきしゃっかけいやく)」と書かれた物件を見つけることがあります。
「定期的に更新が必要なのかな?」と思う人もいるかも知れませんが、定期借家でない賃貸物件でも2年毎などに更新があることが一般的です。

定期借家契約は2000年3月に生まれた比較的新しい制度という事情もあり、認知度があまり高くありません。

本記事では、定期借家の概要やメリット、デメリットなどを解説していきます。

1.普通借家契約と定期借家契約の違い

賃貸物件を借りる際には「普通借家契約(一般的な賃貸借契約)」か「定期借家契約」のどちらかを締結します。

定期借家契約を理解するには、普通借家契約と比較した方がわかりやすいため、まずはそれぞれの概要を説明します。

(1) 普通借家契約

建物賃貸借契約の多数を占めているのが普通借家契約です。1年以上の契約期間を定めて契約します。
(もし1年未満の契約期間を定めた場合、借地借家法29条1項により、期間の定めがないものとみなされます。)

実際には契約期間を「2年」と定めることが多く、2年毎に更新することが一般的です。

基本的に、借主が居住を希望すれば契約の更新が可能です。
貸主が契約期間の途中で借主を退去させるか、契約更新を拒絶したい場合は、正当な事由が必要となります(借地借家法28条)。

その反面、借主はいつでも中途解約が可能です。ただし「退去する場合は◯◯日前に予告すること」「即時退去する場合は◯◯円支払うこと」のような特約が定められることが多いです。
事実上、借主の主導で契約期間を決められる側面の強い契約です。

(2) 定期借家契約

こちらは、貸主が主導して契約期間を決めます。
「契約から◯年間」や「◯年△月~×年◇月」のように、予め契約期間が定められています

このため、転勤や海外勤務などで数年間家を空けることになった人が、自分の家を他人に貸して利益を得るために定期借家契約を使うケースが見られます。転勤などが終わったら自分の家を取り戻して再び住めるからです。

定期借家契約を利用すれば、普通借家契約では認められていない「1年以内の契約」が可能です(借地借家法38条1項)。ただし契約期間が1年以上の場合、契約終了の1年から6ヶ月前までに、貸主は借主に対して契約終了の旨を通知しなければなりません(同法38条4項)。

原則的に中途解約ができませんが、一定の条件を満たせば可能な場合もあります(後述)。

契約の更新という概念がありませんが、貸主と借主が合意すれば再契約が可能です。

なお、契約は公正証書等(公正証書以外でも可)の書面で行う必要があります。

また、貸主は契約書以外に、以下の注意点を記載した書面を別途交付して、借主に説明しなければなりません(借地借家法38条2項)。

  • 契約の更新がない
  • 期間満了で契約は終了する

この説明を怠った場合、定期借家契約は成立せず、その契約は普通借家契約の効力しか持たないことになっています(借地借家法38条3項)。

2.定期借家契約で特に注意すべき点

以上が普通借家契約と定期借家契約の違いですが、特に注意が必要な部分が2つあります。

(1) 中途解約について

原則的に中途解約はできないと述べましたが、居住用の建物を借りた場合、一定の条件を全て満たした借主なら中途解約が可能です。

  • 借主が床面積200㎡未満の住宅に居住している
  • 契約期間中にやむを得ない事情(転勤、療養、親族の介護等)で、その住宅に継続して居住することが困難になった

以上2つの条件を満たした借主が解約を申し入れた場合、申し入れから1ヶ月経過後に契約は終了となります(借地借家法38条5項)。

貸主側から中途解約したい場合は、借主の合意が必要です。
また、中途解約については特約を追加することができます。契約時は特約についても細心の注意を払ってください。

(2) 普通借家契約から定期借家契約への切り替え

「今住んでいる物件が次の更新で定期借家契約に変更されたらどうしよう?」と考える人もいるかも知れません。

しかし、普通借家契約を更新する際に、貸主から借主に定期借家契約への変更を強制することはできません。双方が合意すれば可能ですが、借主が拒否した場合は従来の普通借家契約として更新することになります。

仮に貸主が借主に契約変更を強制したり、事実を誤認させて契約変更したりすると、たとえ借主の合意を得ていても定期借家契約が無効になる可能性があります。

また、2000年3月1日以前に締結された普通借家契約で借りている「住宅」については、借主と物件が同じである以上、定期借家契約への切り替えが出来ないことになっています。

住宅ではない事業用の建物などは、合意による切り替えが可能です。

(3) 各契約の違い

普通借家契約 定期借家契約
契約方法 口頭でも可
(実務上は書面を使う)
公正証書等の書面
「更新がなく」「期間の満了により契約を終了する」ことを契約書とは別の書面で予め説明する義務がある
更新の有無 貸主に正当な事由がない限り借主の希望で更新される 更新はないが再契約が可能なことも
契約期間 1年以上 1年未満の契約も可
借主からの中途解約
特約があればそれに従う
床面積が200㎡未満の居住用建物で、やむを得ない事情で居住が困難になれば中途解約可
上記の場合以外、特約等に従う

【長く住める定期借家を選ぶコツ】
では、再契約できる可能性がある定期借家を見つける方法は何でしょうか?
定期借家物件には2種類の契約期間があります。
・契約期間を「契約から◯年間」などと期間で区切っている物件
・契約期間を「◯◯年△△月××日まで」と期限付きの物件
このうち後者は「遠方に行っていた大家がその時期に戻ってきて、元の場所に住むために期限付きになっている」とことが多いです。そのため後者の物件を再契約することは難しく、前者の方が圧倒的に再契約できる確率が高いと言えます。
一応の目安なので絶対ではありませんが、定期借家に長く住みたい場合は「期限付き契約」ではなく「期間契約」の物件を選ぶといいでしょう。

3.定期借家契約のメリットとデメリット・借主編

ここからは、定期借家契約に存在するメリットとデメリットを紹介します。
まずは借主のものについて言及します。

(1) 借主のメリット

家賃が安い場合が多い

同じ地域で同規模の物件と比べた場合、定期借家の物件の方が相場より安い傾向があります。

定期借家契約は借主に不利な契約であるため、家賃を安くして入居希望者を募ることが多いからです。

短期間だけ借りられる

一見するとデメリットのようですが、数ヶ月~1年程度の単身赴任や家の建替えで数ヶ月だけ住みたい場合もあるはずです。

普通借家の物件は2年契約のことが多いですが、定期借家の物件はそれよりも短く借りることができるので、長期的に借りる予定がない場合に向いています。

(2) 借主のデメリット

期間満了とともに退去しなければならない

定期借家は期間満了とともに物件を明け渡す必要があります。

その物件を気に入った場合でも住み続けることはできないため、他の物件を探さなければなりません。

更新がなく、原則的に再契約できない

定期借家契約には「更新」という概念自体がありません
貸主が更新ではなく「再契約」に応じてくれることはありますが、必ず再契約してくれる保証はありません。

再契約ができる場合でも、再契約料を要求されることがあります。

原則的に中途解約できない

既に述べたように、正当な事由がないと中途解約ができません。
途中解約ができない場合、たとえ物件に住まなくなったとしても、契約期間中は家賃を払い続けることになります。

特約で途中解約ができるようになっている場合もあるので、万が一に備えてそういった物件を選択することも検討した方がいいでしょう。

4.定期借家契約のメリットとデメリット・貸主編

定期借家契約は、貸主にとってもメリットとデメリットがあります。

(1) 貸主のメリット

契約期間満了で物件が明け渡される

最初に定めた期間が経過すれば、その物件が自分の元に返ってきます。

普通借家契約では事実上借主側の意向で契約期間が決まりますが、定期借家契約なら貸主が契約期間をコントロールできます。

1年未満の契約が可能

普通借家契約で1年未満の賃貸借契約をすると、期間の定めのない契約になってしまいます。

定期借家契約にはそのような制限がありません。数ヶ月単位でも物件を賃貸に出すことができます

再契約を断れる

借主が再契約を望んでも貸主の裁量で再契約を断れます。

普通借家契約の場合、例えば借主の素行が悪く騒音を出すなどしても、悪質性がそれほど高くないケースなどでは貸主の権限で物件から借主を追い出すことが非常に難しいです。

しかし定期借家契約の場合、貸主の一存で再契約を拒否できます。

(2) 貸主のデメリット

住居物件の場合、家賃を高く設定しづらい

定期借家契約は借主に不利な契約です。そのため普通賃貸借契約の物件と同じ家賃で賃貸に出した場合、入居希望者が見つかりづらい可能性があります。

同じ家賃であれば、入居希望者は自分に不利な定期借家契約の物件よりも、普通賃貸借契約の物件を選びやすいからです。

なお、地域や物件の内容にもよりますが、事業用の物件の場合は定期借家契約でも普通賃貸借契約の物件と同じ程度の賃料にしやすい傾向があります。

原則的に中途解約ができない

借主同様、貸主側からも中途解約は原則的に不可となっています。

このため「長期の単身赴任が突然短縮されて元の家に戻ることになった」という場合でも、契約期間の満了を待たなければ賃貸に出した物件を自分の居住用に使えなくなってしまいます。

5.まとめ

定期借家物件には通常の物件にはないメリットとデメリットが混在しているため、契約を締結する際は特別の注意が必要です。

定期借家物件についてよく理解した上で、冷静に検討するようにしましょう。

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