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住宅瑕疵担保履行法とは?わかりやすく解説

「せっかくマイホームを手に入れても、いざ住んでみたら欠陥だらけ。床は傾き、天井から雨漏り。当然販売業者が責任をとって直してくれると思ったのに、すでに業者は倒産していた。」

実は、こんな事例は世の中に珍しくありません。被害に遭った当事者からすれば、どこに何を言えば良いのか分からず途方に暮れてしまいます。

このようなときのために、住宅瑕疵担保履行法(じゅうたくかしたんぽりこうほう)が定められました。

今回は、住宅瑕疵担保履行法について解説します。

1.住宅瑕疵担保履行法とは?

(1) 目的と趣旨

新築住宅の売主や建設工事の請負人(以下、売主等)は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、住宅品確法)に基づいて、住宅の主要構造部分の瑕疵(柱や梁などの欠陥)について、10年間の瑕疵担保責任(欠陥の補修などを行う責任)を負うこととされています。

しかし、2005年に発覚した構造計算書偽装問題をきっかけに、売主等が経営破綻したなどの理由で瑕疵担保責任を十分に果たすことができない場合、住宅購入者等が極めて不安定な状態におかれることが明らかになりました。

そこで住宅購入者等の利益の保護を図るため、2007年5月、住宅瑕疵担保履行法(正式名称「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」)が制定され、新築住宅の売主等に対して、「保険加入」または「保証金の供託」と資力確保の措置について、消費者へ説明することが義務づけられました。

この保証金の供託や保険加入、消費者への説明義務によって、住宅に欠陥があった場合に住宅の購入者が欠陥の補修等を売主等に請求するにあたって、売主等の資力(支払能力)が確保されることになります。

(2) 「瑕疵」とは?

この法律の名前にある瑕疵(かし)という言葉は、「本来あるべき、もしくは備えられているべき機能や性能要件が満たされていない欠陥」のことを意味する法律用語です。
そして、特にこの法律で言う瑕疵とは、①構造耐力上主要な部分②雨水の浸入を防止する部分の欠陥を指しています。

このように①②の部分に限定されているのは、これらの部分は、住宅として使用するにあたって重要であること、通常は10年程度の期間で劣化し不具合が発生することが想定できないことなどの理由です。
また、一般の消費者にはこの部分についての技術基準等について知識がないため、手抜き工事の対象にされやすいことも挙げられます。

具体的には、①の部分は、住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版又は横架材で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支える部分を言います。

ここに言う斜材には、筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものが含まれ、横架材には、はり、けたその他これらに類するものが含まれます。

②の部分は、住宅の屋根又は外壁、住宅の屋根又は外壁の開口部に設ける戸、わくその他の建具、雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分を言います。

2.保険制度と供託制度

では、1(1)で説明した、新築住宅の売主等に対して義務付けられる「保険加入」または「保証金の供託」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

(1) 保険制度とは

これは、新築住宅に瑕疵があった場合に、補修や損害賠償等を行った事業者(建設業者や宅建業者)に対して、保険金が支払われる制度です。

契約時には、住宅事業者が保険に加入しているかどうかを、注文住宅の場合は請負契約書に、建売住宅の場合は売買契約書に記載されることになっているので、契約書をよく確認して下さい。住宅の引渡し時には、住宅事業者がどこの保険に入っているか、限度額はいくらか、といった証明書を忘れずに受け取って下さい。

また、事業者が倒産しているなどして補修等を行えない場合、この保険に加入している新築住宅を取得した人(注文者や購入者)は、事業者が加入していた保険法人に対して、補修などにかかる費用を直接請求することができます。

この保険法人とは、国土交通大臣から指定を受け、住宅の検査や保険の引き受けを行う財団法人や株式会社などのことをいいます。

ちなみに、この保険制度は、新築住宅を供給する事業者が加入して保険料を支払うものであり、新築住宅を取得する人が保険料を払う必要があるわけではありません。

この保険に加入している新築住宅を取得した人は、事業者との間で紛争が生じた場合、全国の指定住宅紛争処理機関(各都道府県弁護士会の住宅紛争審査会)で裁判よりも簡易迅速な紛争処理手続を利用することができます。

(2) 供託制度とは

新築住宅に瑕疵があった場合、事業者はその補修等を行う責任があります。しかし事業者が倒産しているようなケースでは、この責任を果たすことができません。

そこで、このような事例に備えて、事業者が、法律で定められた額の保証金(現金等)をあらかじめ供託所(法務局など)に預けておく制度で、住宅購入者は、契約時の書面で、事業者が供託しているかどうかを確認することができます。

供託金は、過去10年間に供給した新築住宅の戸数に応じて算定される額(最低2000万円)が必要となります。

事業者が倒産しているなどして補修等を行えない場合、新築住宅を取得した人は、供託所に対して瑕疵の補修等に必要な金額について、保証金の還付を直接請求することができます。

3.対象となる建築物

この法律は、2009年10月1日以降に引き渡された「新築住宅」が対象となります。

(1) 「新築」とは

この法律で言う「新築住宅」の「新築」とは、建設工事完了日から起算して1年以内で、それまでに人が住んだことがないものを言います。

「新築」ではない、いわゆる中古物件、具体的には建設工事完了日から1年を経過した住宅、1年が経過していなくても、いったん居住した後に転売された住宅などは対象となりません。

ちなみに建設工事完了日とは、通常は、建築基準法上の完了検査が終了した日を意味します。ただし、なんらかの理由で引渡ができない状態である場合は完了検査済みであっても工事完了とはならず、個別の工事の状況を考慮した判断となります。

また、売買契約締結の時点で、建物が工事完了から一年以内であり、かつ、未入居の住宅であれば、新築住宅の売買と言えます。
したがって、その後の引渡しの日が工事完了日から1年を越えていても構いません。

(2) 「住宅」の定義

この法律で言う「新築住宅」の「住宅」とは、戸建住宅、分譲マンション、賃貸住宅など、居住用の家屋全てを指します。

事務所と住居などが混在した併用住宅についても、住居部分のみならず、併用住宅全体の共用部分が「住宅」に該当することとなります。

住宅ではない建物、たとえば倉庫・物置・車庫や特別擁護老人ホーム、有料老人ホーム等事業を行うための施、一時使用目的の仮設住宅などは対象となりません。

(3) 増築の場合

基本的に、既存の住宅にいわゆる建て増しをして部屋数を増やしたような増築の場合は、その増築部分だけを取り上げて「新築住宅」にあたるとすることはできません。

しかし、建築確認上は「増築」となっていても、従来からの家屋から独立した住戸として建てられた住宅については、「新築住宅」に該当する場合があります。

増築部分が独立した住宅と言えるかは、構造上の独立性と機能上の独立性の2つが必要とされ、外部との独立の出入り口が存在すること、水道等の設備を有すること、他の住戸との共用設備が存在しないこと等を総合的に考慮して判断されます。

4.住宅瑕疵担保履行法に違反した場合

新築住宅の売主である宅建業者や請負人である建設業者は、年2回、供託や保険契約の締結状況を、建設業の許可ないし宅建業の免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届出をする義務があります。

この供託や保険契約の締結状況の届出がなされない場合や、届出内容に虚偽があった場合、事業者(法人の場合は直接の行為者と法人の両方)に対して50万円以下の罰金が科されます。

また、届出を行わずに新たな契約を行った場合は、同様に事業者に対して1年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

5.2020年の民法改正による変化

(1) 「瑕疵」という言葉の撤廃

改正された民法では、売買契約や請負契約の目的物の欠陥を意味する言葉として「瑕疵」という言葉が使われなくなり、これに代えて「契約の内容に適合しないもの」という言葉に改められました。

一方、住宅瑕疵担保履行法や住宅品確法では、民法の改正後も「瑕疵」という言葉が残りました。
ただし、住宅品確法の改正により瑕疵とは「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう」と規定され、改正民法と表現が揃えられました。

そして、表現は変わったものの、従来の「瑕疵」、つまり本来あるべき、もしくは備えられているべき機能や性能要件が満たされていない欠陥、という意味には大きく変わりないとされています。

(2) 「隠れた瑕疵」の条件削除

従来の民法では、売主の責任は「隠れた瑕疵」つまり、取引時点で通常の注意では発見できない欠陥についてしか責任追及ができませんでしたが、改正後は、「隠れた」欠陥という条件が必要なくなりました

これにあわせて、住宅瑕疵担保履行法でも「隠れた瑕疵」であるという条件は不要になりました。

(3) 責任内容の拡充

従来の民法で定められていた売主(宅建業者)や請負人(建設業者)の責任は、契約の解除(ただし限定的な場面に限る)と損害賠償が認められていただけでした。

これが今回の民法改正により、解除が認められる範囲が広がり、追完請求(欠陥の補修工事等を求めること)や代金減額請求も認められました。

住宅瑕疵担保履行法でも、このような拡充された事業者の責任について、保険加入や保証金の供託により履行確保がなされることになりました。

6.まとめ

すでに住宅瑕疵担保履行法は施行されてから10年以上が過ぎ、この法律により悪質な事業者は排除されてきていると言えます。

それでも、万一の場合はあります。売主等には契約締結にあたっての説明義務がありますので、これから新築住宅を買ったり注文したりしようとする際には、保険加入または保証金の供託がきちんとなされているか、忘れずに確認することをお勧めします。

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