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生垣・植木のトラブル|隣家の生垣・植木が邪魔な場合の対処法

隣家の生垣や植木の越境などが発生し、ご自身が所有する土地や建物の利用に支障が生じている場合には、何らかの対処が必要となります。

自分で切ってしまってよいのか、それとも隣人に切除を依頼すべきなのか、対処法に迷っている方もいらっしゃるでしょう。

今回は、隣家の生垣・植木が邪魔な場合の対処法について解説します。

1.生垣や植木に関するよくあるトラブル

生垣や植木に関しては、よく越境や日照遮断に関するトラブルが発生します。

(1) 生垣や植木が越境している

生垣や植木は自然に生育するため、所有者の意図しないうちに隣地の敷地内まで延びてきてしまう場合があります。

少々の越境であれば、直ちに実害が生じるケースは少ないでしょう。
しかし、越境の程度が進行してしまうと、土地や建物の利用に支障を来してしまいます。

たとえば、葉がたくさん隣地に落ちるようになり、隣地所有者の側に落ち葉処理の負担が発生する場合があります。
また、固い枝が越境した場合、隣家の窓などを傷つけてしまう可能性もあります。

(2) 日照が遮られてしまう

大規模な生垣を構築したり、高い木を植えたりした場合、隣家との間で日照に関するトラブルが生じる恐れがあります。

過去の裁判例から、人格権の一内容として「日照権」が認められており、他人に日照を不当に遮ることは不法行為(民法709条)に該当する可能性があります。

もちろん、自分が所有する土地の中で生垣や植木を管理することは、土地に対する所有権の一環として、基本的には認められるべきです。

しかし、隣家の日照を過度に制限するような形で生垣や植木を設置した場合、隣家から日照権侵害の責任を追及される可能性があります。

[参考記事] 日照権とは|法律・判例・トラブル事例・救済方法などを詳しく解説

2.隣家の生垣・植木は勝手に切っても良い?

隣家の生垣・植木を邪魔に感じた場合、それを勝手に切ってしまっても良いのでしょうか。

この点、生垣・植木が越境しているかどうか、さらに越境している部分が枝なのか根なのかによって、以下のとおり結論が異なります。

(1) 越境している場合

隣家の生垣・植木がご自身の土地に越境している場合、越境部分を除去してもらう権利があります。

ただし、除去の方法については、越境部分が枝か根かによってルールが異なっています。

枝が越境している

生垣や植木の枝が越境している場合について、民法は以下のルールを定めています。

竹木の枝の切除及び根の切取り
民法 第二百三十三条
隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。

上記のとおり、越境している枝については、所有者に「枝を切除させることができる」にとどまります

したがって、隣家に枝を切ってもらうように求めることはできますが、ご自身で枝を切ってしまうことは原則として認められません

ただし後述するように、ご自身やご家族などの生命・身体、また建物などの財産に対して危害が及ぶおそれがある場合には、正当防衛(民法720条1項)として枝の切除が認められる余地があります。

根が越境している

一方、根が越境している場合については、民法は以下のルールを定めています。

竹木の枝の切除及び根の切取り
民法 第二百三十三条
2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

根の越境の場合、上記のとおり「根を切り取ることができる」と規定されています。
つまり、ご自身で根を切ってしまうことができるのです。

ただし、根を自ら切ることが認められるとしても、隣家とのトラブルを未然に防ぐため、基本的には事前に話し合いで解決することが望ましいでしょう。

(2) 越境していない場合の取り扱い

越境していない生垣や植木については、たとえ邪魔に感じられるとしても、ご自身で切ってしまうことは認められません
もし勝手に生垣や植木を切ってしまうと、隣家から損害賠償を請求されたり、器物損壊罪(刑法261条)に問われたりするおそれがあるので要注意です。

なお、越境が発生していない場合でも、生垣や植木による日照権侵害が発生している場合には、裁判手続きを通じて損害賠償や除去を請求できる場合があります。

3.隣家が生垣・植木を除去してくれない場合の対処法

越境している根を除き、隣家所有の生垣・植木を勝手に切ってしまうことはできません。
そのため、隣家に生垣・植木の除去を依頼する必要がありますが、隣家が除去を拒む可能性もあります。

もし隣家に生垣・植木の除去を拒否された場合、以下の方法によって対応することが考えられます。

(1) 弁護士を通じて除去を請求する

越境している枝に関しては、被害者が加害者に対して除去を請求する権利が明確に認められています。
よって、除去を主張する側に正当性があるので、加害者である隣家は最終的に折れるほかありません。

弁護士を通じて除去を請求すれば、法的手続きに発展することを恐れた隣家が、自主的に生垣や植木を除去する可能性があります。

直接のやり取りの中で生垣や植木が除去されれば、法的手続きに発展する場合よりも、時間的・経済的なコストが小さく済む点がメリットです。

隣家の姿勢が強硬な場合には、一度弁護士へのご依頼をご検討ください。

(2) 法的手続きを通じて切除を請求する

直接交渉の中で、隣家側が生垣・植木の除去を拒否する姿勢が崩れない場合には、民事調停や訴訟などの法的手続きを通じて除去を請求する必要があります。

法的手続きに臨む際には、越境部分の写真に加えて、越境によってどのような被害が生じているのかを示す資料を提出しましょう。

法的手続きを通じて最終的に判決を取得すれば、強制執行といってこれも法的手続きなのですが、然るべき手続きをとって強制的に除去できることになります。

訴訟や強制執行といった法的手続きへの対応は煩雑なので、弁護士へのご依頼をお勧めいたします。

(3) 正当防衛として自ら切除する

越境している枝の切除を隣家側が頑なに拒否している場合、民法上の正当防衛を根拠として、自ら枝を切除することが認められる可能性があります。

正当防衛及び緊急避難
民法 第七百二十条
他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。

上記のとおり「自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため」という目的が要求されているため、正当防衛として枝を切除するには、生命・身体・財産に対して危害が加わるおそれが具体的に生じていることが求められます。

たとえば、以下のような状況があれば、正当防衛による枝の切除が認められる可能性があるでしょう。

  • 通路まで枝が張り出していて、通行する人がケガをするおそれがある
  • 太い枝が折れかかっていて、いつ折れて落下してくるかわからない
  • 枝が建物付近まで張り出していて、建物の外壁や窓にたびたび衝突している

ただし、民法上の正当防衛が成立する要件は厳しいため、実際に枝を切除する前に、きちんと法的な検討を行うことが大切です。

もし正当防衛が成立しない状況であるにもかかわらず勝手に枝を切除すると、不法行為責任(民法709条)を負ったり、器物損壊罪(刑法261条)で訴追されたりしてしまうおそれがあります。

隣家の枝をご自身で切ってしまいたい衝動に駆られたとしても、一度ぐっとこらえて、事前に弁護士などへご相談ください。

4.まとめ

生垣や植木の越境等に関するトラブルについては、民法上のルールを踏まえつつ、できる限り話し合いで解決するのが望ましいです。

弁護士を通じて話し合いを行うことで、法的な権利義務に関する論点が整理され、隣家側の態度が軟化する可能性があります。
隣家の生垣・植木を邪魔だとお感じの方は、一度弁護士に相談することもご検討ください。

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