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家族信託を利用したアパート建築の方法

将来、認知症で判断能力が低下すると、アパートを建築して相続対策をしようと思っていたとしても、それを実行することができなくなります。もし、アパートが建設中の場合には、アパートの引渡しや金融機関からの融資などに支障が出る可能性もあります。

そこで、そのような場合に備えて家族信託を利用ことが考えられます。委託者が元気なうちに家族信託を締結しておけば、受託者がご自分の判断でアパートの建築を進めることが可能になります。

今回は、家族信託を利用したアパート建築の進め方について、詳しく解説します。

1.アパート建築を目的とした家族信託

まずは、アパート建築を目的とした家族信託契約を組成しましょう。家族信託を成功させるためには、ここが最も重要になります。弁護士に相談し、入念な設計をしましょう。

受託者が建築契約を締結し、完成したアパートを維持していくために、次のようなものを家族信託の契約内容にすることが考えられます。

  • 土地を信託財産にすること、またはアパート用の土地の購入、アパートの建築などの資産組換を受託者が行えるように権限を与えること。
  • アパート建築に必要な資金を信託財産にすること。
  • アパート建築に必要な場合には融資を受けること。
  • 新築アパートの維持管理、改良などはすべて受託者の判断で行うこと。
  • 大規模な修繕改良工事を行う場合には、受益者との協議が必要であること。
  • 新築アパートの修繕費、借入金の返済などはすべて受益者が負担すること。
  • 委託者の死亡により信託契約は終了すること。
  • 家族信託が終了したあとのアパートの帰属権利者のこと。など

2. 融資を受ける2つの方法

アパート建築を行うために融資を受けることにした場合、信託内借入と信託外借入の2つの方法があります。

ただし、融資についての大前提として、家族信託における融資に対応している金融機関は非常に少ないのが実情であることを念頭においてください。あらゆる金融機関に相談してみることが重要です。

(1) 信託内借入

信託内借入とは、受託者が信託契約で定めた借入権限を基に融資を受ける方法で、受託者が金銭消費貸借契約の契約者となります。借入金は信託財産の一部になることから、信託内借入という名称が付いています。

信託財産である金銭を使って建築したアパートであるため、当然ながら完成後のアパートも信託財産となります。その後、信託財産であるアパートの賃貸収入を原資とする信託財産から、借入金を返済していく流れになります。

信託内借入では、受託者に借入権限があることから、融資、アパート建築、アパートの維持管理処分も受託者の権限となります。

(2) 信託外借入

信託外借入とはその名称通り、信託とは関係のない借入になります。

委託者が自身で借入を行い、委託者が自身でアパートを建築し、そしてアパートが完成した後に信託財産に追加信託することで、受託者がアパートの維持管理処分を行えるようになります。

要するに、委託者に意思判断能力があるうちに、アパートの追加信託まで完了しておく必要があるということです。

また、完成したアパートを信託財産に追加信託すると、当然、アパートの賃貸収入は信託財産になるため、何もしなければ委託者の借入の返済に充てることはできない点に注意しなければなりません。

金銭消費貸借契約の契約者は委託者であるため、借入金は信託財産に含まれず、返済も委託者が行っていくことになります。

ただし、これについては家族信託契約に、アパートの収益から信託配当金を送金する流れを取り決めておくことで解決することができます。

(3) 追加信託とその方法

追加信託とは、当初の家族信託契約においては含めていなかった財産を、後から信託財産にする行為のことをいいます。

当初の家族信託契約書を変更するという形ではなく、委託者と受託者の合意によって追加信託契約を締結するようになるため、委託者に判断能力があることが前提となります。

また、不動産の場合には、契約だけではなく信託登記手続きも必要になるため注意しましょう。

3. アパート建築から家族信託による管理まで

最後に、家族信託でアパート建築を行うことが決まって家族信託契約を締結してから、実際に受託者が管理できる状態になるまでの流れをまとめます。

(1) 融資を受けられる金融機関を探す

アパート建築をするために融資を受ける場合には、ここからスタートします。

前述した通り、対応している金融機関はまだまだ少ない状況です。
対応していたとしても、通常のアパートローンなどよりも審査が厳しい可能性や、多くの担保や保証人の提供を求められる可能性があります。

融資を受ける金融機関を探すところから融資手続きまで、弁護士などの専門家のサポートを受けることをおすすめします。

(2) アパート建築

資金調達の目途が立ったら、アパート建築のために建築会社と建築請負工事契約を締結します。

受託者が融資を受けて建築計画を行う信託内借入の場合には受託者、委託者が融資を受けて建築計画を行う信託外借入の場合には委託者が契約することになります。

(3) アパート完成後

完成したアパートは受託者が維持管理処分を行うことになりますが、信託内借入と信託外借入では対応が異なります。

信託内借入の場合には、受託者が信託財産で建築したアパートは当然、信託財産になるため、そのままの流れで受託者の維持管理処分となります。

信託外借入の場合には、アパート完成時点では委託者が個人的に建築したアパートとなっているため、受託者に追加信託契約で追加信託します。

アパートの賃貸収入を委託者の借入返済に充てる場合には、家族信託契約書に送金の条項を設けておくことを忘れないようにしましょう。

4.まとめ

アパートを建築するには多くの場合で融資が必要になるでしょう。

融資には2パターンあり、信託内借入であればアパートを受託者が管理するまでの流れはスムーズになります。アパート建築途中で委託者が認知症になった場合のリスクもありません。

しかし、家族信託でのアパート建築にかかる金融機関の融資は難しいのが現状です。
より良い条件で融資を受けられるようにするためには、融資、建築、返済までのプランをしっかりと立てることが重要になります。

家族信託を利用したアパート建築をご検討の際には、是非、弁護士へご相談ください。

泉総合法律事務所では、家族信託によるアパート建築のご相談にも対応しております。アパート建築でお悩みの方は、是非一度、ご相談ください。

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