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不動産の重要知識

登記済権利証・登記識別情報の違いとは?

土地の「権利書」という単語はよく耳にします。
俗に「登記済権利証」と呼ばれていますが、法的な正式名称は「登記済証」です。一方で、「登記識別情報」と呼ばれるものもあり、その役割は同じです。

不動産の登記をする際には、この登記済証(登記済権利証)や登記識別情報が必要になります。

では、登記済証(登記済権利証)や登記識別情報とはどんなものか、両者の違いについてご存知でしょうか。

ここでは、不動産登記の基本として欠かせない登記済証(登記済権利証)や登記識別情報の基本についてご説明します。

1.登記済証(登記済権利証)・登記識別情報とは?

(1) 登記申請者と登記義務者の同一性

Aさんが昭和60年に購入して所有している土地を、令和3年に、Bさんに売却する売買契約の場合を例にとりましょう。

権利の登記は、「登記権利者と登記義務者が共同してしなければならない」(不動産登記法60条)とされています。
売買によって所有権を得る買主Bさんが登記権利者であり、売買によって所有権を失う売主Aさんが登記義務者です。

さて、共同して申請すると言っても、詐欺師CがAさんになりすまし、登記義務者として、Bと共同申請をすると、Aさん本人が知らない間に、土地の所有権名義がBに移転してしまいます。

このような事態を防止するには、共同申請の際に、登記義務者と称する者に、自分が真実の登記義務者であることを証する資料を提出させて、登記義務者本人との同一性を確認する必要があります。

その方法のひとつとして、かつては「登記済権利証」、正式名称「登記済証」の提出を要求していたのです(旧不動産登記法35条1項3号)。

(2) かつての同一性確認方法「登記済証」

Aさんが昭和60年にこの土地の所有権を得て登記を行った際には、法務局の登記官が、登記申請書の副本に「登記済」と押印したうえ、必要事項を記載してAさんに交付し、これを登記が完了した証明書としていました。これが「登記済証」です(旧不動産登記法60条1項)。

そこで、この「登記済証」を持っている者は、そこに記載された土地所有権の名義人と同一人物であり、今回の登記申請における登記義務者であろうと事実上推定できるわけです。

(3) 新たな同一性確認方法「登記識別情報」

2005(平成17)年以降、法務局のオンライン化によって、この「登記済証」に代わって英数字の組み合わせによる一種の暗号(パスワード)が登記義務者であることの確認に用いられることになりました。

上の例で言えば、Aさんが土地の所有権を得て登記を行ったのが2005(平成17)年以降であれば、「登記済証」に代わってこの暗号が発行されています。これが「登記識別情報」です(不動産登記法2条14号、21条)。

今回、AさんがBさんに土地を売り、所有権の移転登記を共同申請する際には、この「登記識別情報」、すなわち暗号を法務局に知らせて、自分が登記名義人であることを証することになります(不動産登記法22条)。

もちろん、Aさんが登記をしたのが2005(平成17)年より前であれば、「登記済証」しか交付されていませんから、これを提出することで登記名義人であることを証することが認められます(不動産登記法附則7条)。

2.登記識別情報はいつ・どこで・誰がもらえるか

登記識別情報は、登記名義人となる申請者が登記を申請し、登記が完了した際に、法務局の登記官が登記名義人に通知します。不動産登記を司法書士に代理してもらった場合には、登記識別情報は司法書士に通知されます。

また、紛失したり悪用されたりすることを避けるために、申請の際に希望すれば、登記識別情報の通知を受けないという選択肢もあります。

[参考記事] 権利証・登記識別情報の紛失と再発行について

登記識別情報は、原則、登記を書面申請した場合は書面で、オンライン申請した場合はオンラインで通知されることになります。
ただし、オンライン申請でも、当面は希望すれば書面で通知を受けることができます。

登記識別情報を書面で受け取る際は、本人限定受取郵便や書留郵便を使い、登記識別情報通知書という形で交付されます。

登記識別情報通知書には、以下の情報が記載されています。

  • 不動産番号(不動産を区別するために土地一筆、建物一戸に付けられる番号)
  • 受付年月日 受付番号
  • 登記の目的(所有権保存、所有権移転、抵当権設定など)
  • 登録名義人の住所
  • 登録名義人
  • 登記識別情報

3. 登記識別情報のシールが剥がれず読み取れない場合の対処法

2016年頃まで登記識別情報通知書は、第三者から見られて悪用されるのを防ぐために、12桁の符号の上から目隠し用のシールを貼る仕組みになっていました。そのため、シールが劣化して上手くはがれずに、登記識別情報が読み取れないトラブルが起きることがあります。

この場合は、その登記識別情報を発行した法務局に、登記識別情報の再作成の申し出をすることで、登記識別情報通知書と同様に、本人限定郵便で受け取ることができます。

申し出を行うことができるのは、登記名義人やその相続人などの一般承継人に限ります。

申し出は、直接窓口に出向くか、郵送で行うことができます。
必要書類などについて、詳しくは、以下の法務省のHPをご覧ください。

法務省:登記識別情報を記載した書面(登記識別情報通知書)の登記識別情報を記載した部分が見えないようにするシール(目隠しシール)のはがれ方が不完全であることにより登記識別情報が読み取れない状態になった場合の登記識別情報の再作成について

4.まとめ

登記済権利証も登記識別情報も、登記名義人自身であることを証明する重要なものです。どちらも他人に悪用されないよう大切に保管する必要があります。

不動産の登記については、専門性が要求されるため、弁護士・司法書士のサポートが必要になってきます。不動産についてわからないことがある場合は、専門家に依頼するのが早道です。

泉総合法律事務所では、不動産に関する様々な案件を解決してまいりました。

不動産についてお悩みであれば、是非一度、泉総合法律事務所にご相談ください。

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