入居者トラブルに関するよくある質問
アパートの賃貸をしているのですが、外国人から賃借の申し込みがありました。外国人であることを理由に賃貸借契約の締結を拒否することはできますか。
外国人であることを理由とした契約締結の拒否は人種差別に当たりますので、少なくとも法的には合理的なものと認められません。
契約交渉が進んでから拒否してしまうと、損害賠償請求されるおそれがあります。
外国人からの賃借の申込みへの対応方法は、国などが公表しているガイドラインなどが参考になります。
たしかに、誰と契約するかの判断は、個人の自由です(契約自由の原則)。しかし、憲法14条などは、個人の間でも人種差別を許していません。
契約自由の原則のもとでも、「契約を申し込んできた相手が外国人だったこと」は、契約を拒否する合理的な理由にはならないのです。
合理的な理由なく契約締結を拒否したタイミングが、契約成立に向けてかなり話が進んでおり、契約締結直前の段階だったならば、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求の対象となるおそれがあります。
締結直前の段階では、相手の契約成立への期待を裏切らないようにする「信義則」による義務が生じるからです。
実際に、賃貸借契約成立直前になって外国人であることだけを理由に賃貸借契約を拒否したケースで、上記のような理由で損害賠償金の支払いを命じた判決があります(大阪地方裁判所平成5年6月18日判決や京都地方裁判所平成19年10月2日判決など)。
習慣も言葉も異なる外国人から賃借を申し込まれたことへの不安は、国などによるサポートで解消しましょう。
たとえば、国土交通省はインターネットサイト「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000017.html)で、「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を無料公開しています。
「家賃の支払いなど金銭的な不安があるなら、外国人向けの機関保証を利用する」、その他、
・ゴミ出し
・騒音
・原状回復義務や敷金制度
など、外国人との賃貸借契約で問題化しやすいポイント、その具体的な説明の仕方を紹介しており、ほかにも、日本語と外国語の両方によるチェックリストなどもあります。