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その他不動産トラブルに関するよくある質問

Q

「短期賃貸借」とはどのようなものですか?

A
「処分の権限を有しない者」、つまり、他人の財産を管理しているものの売却など処分する権限を持たない者が賃貸借契約をするときには、その期間を短く制限する制度です(民法602条)。


●「処分の権限を有しない者」
短期賃貸借制度の対象となる「処分の権限を有しない者」の具体例としては、
・不在者財産管理人
・相続財産管理人
・後見監督人がいるときの後見人
などがあります。

たとえば、相続財産管理人は、相続人がいるのかわからないときなどに相続財産を一時的に管理します。
賃貸物件について相続人が見つかれば物件を引き継がなければいけませんから、勝手に長期間の賃貸借契約を結ばないように法律で管理権が限定されているのです。

なお、2020年4月1日に施行された改正民法では、それ以前にあった「処分につき行為能力の制限を受けた者」という文言が条文から削除されました。そもそも単独では有効に契約などをすることが出来ない未成年者や成年被後見人が、短期賃貸借契約できると誤読されるおそれがあったためです。


●期間制限など
短期賃貸借制度が設定する期間上限は、契約内容により異なっています。
1 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
2 1以外の土地の賃貸借  5年
3 建物の賃貸借  3年
4 動産の賃貸借  6か月
契約でより長い期間を定めても、上記の期間を超えた期間について、契約は無効となります(後述するとおり更新は可能です)。
逆に言えば、上記の期間が経過するまでの間ならば、期間上限に反していても賃貸借契約は有効です。契約自体が無効になるわけではありません。

短期賃貸借契約であっても更新により契約期間を延長できます。もっとも、期間制限が骨抜きにされないよう、更新することができる時期が制限されています。
更新できるようになるのは、それぞれ期間満了から
A 土地 1年以内
B 建物 3か月以内
C 動産 1か月以内
となっています。

なお、抵当権者が競売で売却した土地や建物にある短期賃貸借が、一定の条件を満たしたときは無くならない(対抗できる)という「短期賃貸借保護制度」がありましたが、平成16年4月1日をもって廃止されました。現在では短期賃貸借かどうかにかかわらず、建物の賃借人は競落人の買受の日から6ヵ月間に限り、明け渡さなくてよいという建物明渡猶予制度(民法395条)が、原則として適用されることになっています。
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