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その他不動産トラブルに関するよくある質問

Q

アパートの一室を居住用として貸したのですが、入居した賃借人が暴力団員であることが判明しました。賃貸借契約書には、暴力団排除条項がないのですが、賃貸借契約を解除することはできますか。

A

<冒頭>

信頼関係の破壊につながる事情、たとえば、

・名義貸し

・迷惑行為

・抗争の発生

などがあれば、暴力団排除条項がなくとも賃貸借契約を解除できる可能性があります。
当該物件が暴力団事務所となってしまっていれば目的外使用や無断増改築、そのほか家賃滞納などの一般的な問題点もあわせて、賃借人との信頼関係が破壊されたといえる事情を積み重ねていきましょう。

 

<暴力団員相手でも信頼関係の破壊が必要>

暴力団員排除条項があれば、暴力団員であることが発覚した時点で契約違反により賃貸借契約を解除できます。裏を返せば、同条項がなければ、賃借人が暴力団員であることのみを理由に解除することは難しいのです。
あくまで、一般的な賃貸借契約と同様に、長期間の家賃滞納など信頼関係が破壊されたといえる事情が必要になります。

 

<名義貸し>

暴力団員であることを隠すために、他人の名義で賃貸借契約を締結していないか確認しましょう。
転貸や賃借権譲渡には賃貸人の同意が必要であり、無断で行なえば解除できます(民法612条1項)。名義貸しによる賃貸借契約締結は、法的には無断での転貸・賃借権譲渡といえるものです。

なお、賃借人は賃貸人が想定していた者と異なるとして、民法95条「錯誤」に基づく契約の無効を主張できる可能性もあります。

 

<迷惑行為>

秩序ある平穏な共同生活を保つことは、賃貸人との信頼関係を維持するために必要不可欠です。
・仲間の暴力団員がたむろするようになった
・無断駐車が多くなった
など(東京地方裁判所平成7年10月11日判決)、些細なことでも暴力団が関われば地域社会に大きな悪影響を及ぼすとして信頼関係の破壊につながりやすくなります。

 

<抗争の発生>

抗争が発生し、発砲事件など周辺住民の生命や財産が巻き添えとなりかねない事態が生じてしまっているのであれば、危険行為禁止条項違反などで一刻も早く解除・明け渡しを要求しましょう。
危険行為禁止条項は、集合住宅の賃貸借契約には以前から一般的に記載されていますから、暴力団排除条項がないケースでも、この条項違反を理由に信頼関係の破壊を主張できるはずです。

 

<暴力団事務所になっていたら>

アパートの一室が暴力団事務所となっていた場合、迷惑行為や抗争のリスクは一気に高まります。
暴力団の拠点施設として通信施設や監視カメラ、鉄扉などの無断改造をしていれば、増改築禁止条項違反になります。
危険行為禁止条項違反行為なども生じやすくなりますから、具体的な事情を拾い集めてすぐさま解除明け渡しを求めましょう。

 

<まとめ>

出来る限り早くに警察や弁護士と連携して契約解除に動きましょう。単独で動いても脅迫やほかの暴力団員と共に実力行使に出てくる恐れがあります。裁判を起こしても名義をさらに他人に移して明け渡しを妨害してくるかもしれません。
抗争が現実になってしまえば、ほかの入居者や建物の設備に実害が生じてしまいます。
なお、賃貸借契約更新が間近であれば、契約更新の際に暴力団排除条項を追加し、更新後すぐさま同条項違反を理由に解除してしまいましょう。
契約締結に至った事情や具体的な迷惑行為などをまとめてすぐに弁護士にご相談ください。

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