老朽化したアパートの建替えについてさらに詳しく

増える老朽化したマンション・アパート

日本では、昭和50年代前後において、分譲マンションの建設ラッシュがありました。
多くのマンションが建ち、日本の経済発展の象徴でもありましたが、現在、それらのマンションは築年数40年前後が経ち、その多くが老朽化しつつあります。

マンションの老朽化は、そのマンションの住民や、周辺住民にとっては危険を伴うケースもあります。例えば耐震性の問題、建物自体や給排水管などの設備の劣化、バリアフリー対策がとられていない等の問題があります。そうなると修繕費等の支出が増える上、資産価値も低下しますので、賃貸物件オーナーとしては、この老朽化したマンション・アパートの対策が急務になってきます。

ここでは、アパートの建替えについての概要と、注意すべき「立退き」「正当事由」について簡単にポイントを解説します。
なお、各戸のリノベーションの場合は大きな問題は生じないことが多いため、以下の解説は全面建替え及び入居者の退去を伴う大規模修繕を中心とします。

建替えの流れ

賃貸マンションやアパートの建替えでは、やるべきことが多くありますが、極力シンプルに考えると、以下の4つに分けることができます。

①建築計画や事業収支計画の作成
建築基準法との関係で、現在の容積率と、建替え後の容積率なども考慮しながら、収益性や費用などを入念に検討します。
特に、老朽化したマンション・アパートでは、現在の建物が「既存不適格建築物」といって現在の建築基準法に適合していない可能性が高いです。
建替え後は建築基準法に適合させる必要がありますので、この関係で賃貸物件として運用できる部屋数が減ったり、面積が狭くなったりということが生じ得るため、注意が必要です。

②新規入居者募集の停止当然ですが入居者がいる状態で建替え工事はできませんので、建替えを見据えて入居者募集を停止する必要があります。
もしできるだけ空室を避けたい場合は、解体時期を見据えて、更新のない定期借家契約で募集することを検討してもよいでしょう。

③現在の入居者への説明と立退き依頼
解体時期までに、現在の入居者に立ち退いてもらう必要もあります。
立退き依頼についてはこの後解説します。

④解体及び建築
当初の計画に沿って、解体・建築を行い、その後賃貸物件として運用を再開します。

マンションの収益性という点では①が非常に重要ですが、法的に問題になりやすいのは③現在の入居者への説明と立退き依頼です。
そこで、以下では建替えに伴う立退き交渉を解説します。

建替えに伴う立退き交渉

立退きには「正当な事由」が必要

法的には、賃貸人が賃貸借契約を解約するには、「正当な事由」が必要とされており、原則としてこれが認められないと賃借人に退去してもらうことはできません(借地借家法28条)。
賃貸人の事情だけで賃借人が住居等を予想外に失うことを防ぐためにこのような規定になっています。

正当事由は、賃貸借の経緯、建物の利用状況、建物の現況(耐用年数や老朽化・損傷の程度など)、そしていわゆる「立退き料」などを考慮して判断することになります。
単に賃貸人が建替えたいというだけでは通常は正当事由が認められにくいですが、老朽化したマンション・アパートの場合、例えばあまりに建物が古いために建物の朽廃が進み、耐震性が不足している、倒壊の危険がある、生活衛生上の不備があるといった事情があれば、比較的正当事由があると認められやすいです。

また、建替え後に再度、賃貸借契約を締結する旨の合意がある場合は、正当事由は認められやすくなります。

立退き料

立退き料は、立退きに伴う賃借人への財産的給付(多くは金銭の交付)で、上記の正当事由の一つの要素として考慮されます。
他の正当事由が、賃借人の退去に伴う不利益に足りない場合であっても、この不利益を補填するに足りる立退き料を支払うことで、総合して正当事由が満たされることがあります。

つまり、例えば建物の老朽化がそれほど著しいものではなく、通常はまだまだ賃借人が居住を続けられるものの、賃貸人が収益性向上のために建替えたいといった場合には、比較的立退き料が高額になりやすいです。

したがって、立退き料がどの程度になるかというのは事案によって大きく異なり、一概に相場というものはありませんが、引越し及び引越し先の契約にかかる費用や、事業者のテナントの場合は営業補償などが含まれます。

もし入居者との立退き交渉が難航する場合は、弁護士に依頼するのも一つの手段でしょう。

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