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入居者トラブル

賃貸住宅の入居後に不具合が判明した場合の対処法

賃貸借契約を締結して、いざ賃貸住宅へ入居すると、後からさまざまな不具合が判明するケースがよくあります。

入居時の物件の不具合については、賃貸人に修繕などを請求できることがあるので、民法などのルールを踏まえて適切に対応してください。

この記事では、賃貸住宅に入居した後で不具合が判明した場合に、賃借人がとることのできる対処法について解説します。

1.入居後に判明する不具合・トラブルの例

賃貸借契約を締結する際、内覧が行われないケースもしばしばあります。
また、内覧が行われる場合でも、内装などを簡単に確認するのみにとどまり、物件の細かい機能面の確認までは行わないケースも多いでしょう。

入居時の確認が十分に行われない場合や、不具合が隠れた部分に潜んでいる場合には、入居後に物件の不具合が発見されることがあります。

賃貸住宅への入居後に判明する不具合・トラブルの例としては、以下のものが挙げられます。

  • エアコンが正常に作動しない
    特に春や秋など、エアコンを使用する必要性が低い時期に賃貸借契約を締結した場合、夏場や冬場になってからエアコンの不調に気が付くケースもあります。
  • 雨漏りがする
    天井の穴などによる雨漏りは、実際に雨が降らなければ気づかないため、入居前に見落とされやすい不具合の一つです。
  • 蛇口から汚い水が出る
    水回りは入居前の重要なチェック箇所ですが、契約前は水が通っておらず、出る水までは確認できないケースがあります。

入居時から存在する不具合については、その存在について賃貸人から事前に説明を受けているかどうかによって、賃借人が取り得る対応が変わります。

2.賃借人は契約不適合責任の追及が可能

まず、不具合について入居前に説明を受けていない場合、賃借人は賃貸人の「契約不適合責任」を追及することができます(民法559条、562条以下)。

契約不適合責任とは、契約の目的物の種類・品質・数量が契約内容に適合しない場合に、賃貸人が賃借人に対して負担する法的責任のことです。

入居前に説明がなかった不具合については、上記の「契約不適合」に該当し、賃借人は賃貸人に対して、以下の4つの請求を行うことが認められます。

(1) 不具合の修繕

もっとも基本的な請求として、賃借人は賃貸人に対して、入居時に存在した不具合の修繕を求めることができます(民法562条1項本文)。

修繕の方法は、原則として賃借人の請求に従いますが、賃借人に不相当な負担を課すものでなければ、賃貸人の判断で異なる方法を選択・実施することも可能です(同項但し書き)。

なお、あくまでも入居時から存在した不具合のみが契約不適合責任の対象であって、入居後に賃借人の責任によって生じた不具合については、賃貸人の契約不適合責任を追及することはできません。

(2) 賃料の減額

入居時に存在した不具合の修繕を、賃借人が相当の期間を定めて催告してもなお、賃貸人が期間内に修繕を行わない場合には、賃借人は賃貸人に対して賃料の減額を求めることができます(民法563条1項)。

賃料の減額幅は、不具合の内容や程度に応じて個別に決定されます。

なお、そもそも修繕が不可能である場合や、賃貸人が明確に修繕を拒絶する意思表示をした場合には、賃借人は修繕の催告をすることなく、直ちに賃料の減額を請求できます。

(3) 損害賠償請求

不具合の存在によって、賃借人が何らかの損害を被った場合には、賃貸人に対して損害賠償を請求することもできます(民法564条、415条1項)。

たとえば、雨漏りによって家具・家電が損傷してしまった場合には、修理費用や買い替え費用の損害賠償を請求できます。

なお、賃貸人に対する損害賠償請求は、前述の修繕請求や賃料減額請求と並行して行うことが可能です。

(4) 契約の解除

賃借人が賃貸人に対して相当な期間を定めて修繕を催告したにもかかわらず、期間内に修繕が行われない場合には、賃借人は賃貸借契約を解除することができます(民法564条、541条本文)。

ただし、不具合の内容・程度が契約および取引上の社会通念に照らして軽微の場合は、契約解除は認められません

たとえば、エアコンがつかない不具合があったとしても、それだけで賃貸借契約の解除が認められる可能性は低いでしょう。

これに対して、床が傾いているなどの深刻な不具合がある場合には、契約の解除が認められる可能性が高いです。

[参考記事] 民法改正|瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い

3.不具合について入居前に説明を受けていた場合

一方、不具合について入居時に説明を受け、賃借人も承知のうえで入居した場合には、不具合が「契約不適合」に当たらないため、賃貸人の契約不適合責任を追及することはできません。

しかし、賃貸物件を使用収益するに当たって必要な修繕については、入居時に説明を受けていた不具合についても、依然として賃貸人に請求することが認められます。

(1) 使用収益に必要な修繕は、説明を受けていても請求可能

賃貸人は、賃貸物件の使用収益に必要な修繕をする義務を負う旨が、民法606条1項に定められています。

賃貸人は賃借人に対して「賃貸物件を貸す債務」を負うのですから、賃貸物件を使用収益できる状態に維持することは、賃貸人にとって当然の義務です。

そのため、事前説明の有無にかかわらず、不具合が賃貸物件の使用収益に支障を及ぼすものである場合には、賃借人は賃貸人に対して、不具合の修繕を求めることができます。

(2) 例外|修繕しない旨の特約がある場合

賃貸借契約の中で特定の不具合について修繕しない旨の特約が定められている場合には、例外的に賃貸人の修繕義務が免除されます。

ただし、このような特約が無制限に認められるわけではなく、賃借人に過大な負担を課す内容の特約は無効になる可能性があります。

具体的には、以下のポイントが満たされていない内容の特約は無効と判断される可能性があることを覚えておきましょう。

  • 賃貸人の修繕義務が免除される範囲が明確化されている
  • 賃借人に修繕義務を課したり、賃借人の費用負担が過大になったりする内容ではない

4.入居後に判明した不具合に関するよくある疑問

最後に、入居後に判明する不具合への対処法に関連して、賃借人からよく提示される疑問点について回答します。

下記に近い問題状況を抱えている賃借人の方は、ぜひ参考にしてください。

(1) 賃貸借契約をクーリングオフすることは可能?

訪問販売などとは異なり、不動産の賃貸借契約はクーリングオフの対象ではありません

もし賃貸借契約を終了させたい場合には、民法の解除規定や、契約上の解約規定などに従うことになります。

[参考記事] 不動産売買契約のクーリングオフ

(2) 賃貸人に不具合を修繕してもらえない場合の対処法

前述のルールに従って、賃貸人に修繕義務がある不具合につき賃貸人が修繕を拒否する場合には、弁護士に対処法についてのアドバイスを求めるとよいでしょう。

特に、不具合についての事前説明がない場合には、賃料の減額・損害賠償を請求したり、賃貸借契約を解除したりできる可能性があります。

いずれの方法についても、事前に法的要件を満たしているかどうかの検討を行うことが不可欠ですので、弁護士への相談をお勧めいたします。

(3) 再度引っ越しをしたい場合の引っ越し資金

不具合を理由に引っ越しを強いられたとすれば、賃借人には引っ越し費用その他の損害が発生しています。

前述の要件に従い、賃貸人が契約不適合責任を負う場合などには、賃貸人に対して引っ越し費用相当額の賠償を求めることができます。

賃貸人に対する損害賠償請求の手順としては、まず内容証明郵便などで請求を行い、賃貸人が応じなければ支払督促や訴訟などの法的手段を講ずるのが一般的です。

請求方法についてわからない点がある場合は、弁護士にアドバイスを求めるのが安心でしょう。

(4) 不具合について賃貸人から受けられる補償の限度額

不具合に関する損害賠償(補償)として、どの程度の金額を賃貸人から受け取れるかについては、不具合の内容・程度に応じたケースバイケースの判断となります。

実際に賃貸人に対する請求を行う際には、合理的な評価基準によって損害額を算定する必要がありますので、弁護士にご相談ください。

5.まとめ

賃貸物件に入居した後で不具合が判明した場合、賃貸人の契約不適合責任を追及できる可能性があります。

賃貸人の費用負担によって不具合を修繕してもらえるケースも多いので、法律上の要件に沿って毅然と修繕を求めるとよいでしょう。

もし賃貸人が任意に修繕に応じない場合は、賃料の減額や契約解除などの方法も考えられます。

賃貸人に対して適正妥当な請求を行うためには、弁護士のアドバイスを求めるのが有効です。

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