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マンション

マンション建替えの流れ・注意点などをわかりやすく解説

マンションの築年数が古くなってきた場合、耐震性などの安全性向上や、物件としての価値回復などを目指して、建替えが検討されることがあります。

建替えには法律上定められた多くの工程が必要であることに加えて、時間的・経済的コストもかなり大きなものになるので、建替えの提案にどのように対応するかは慎重な検討が必要です。

この記事では、マンションの建替えに関する法律上の手続きの流れや、建替え時の主な注意点などについて解説します。

1.老朽化して建替えが必要となる築年数の目安

分譲マンションの耐用年数は意外に長く、鉄筋コンクリート造の場合は120年、外装仕上により延命した場合は150年とも言われています。
【参考】「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介|国土交通省9頁

ただし、これは最近に建てられた品質の高いマンションの場合で、高度経済成長期以降に量産されたマンションの場合は、耐久性が低く、耐用年数がさらに短いと考えられます。

なお、実際に建替えられているマンションは、築30年~40年程度のものが多いようです。
これは、建替えによる採算の向上について合意形成が実現したマンションについては、比較的早期に建替えが行われているという事情によると考えられます。

その一方で、築年数が古くなっても一向に建替え合意が得られないマンションも多く、その場合は耐用年数が近づいても建替えが実現しないという事態が生じています。

2.マンションの建替えに関する法律の大枠

マンションの建替えについては、以下の2つの法律によってルールが定められています。

  • 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)
  • マンションの建替え等の円滑化に関する法律(円滑化法)

(1) 建物の区分所有等に関する法律

区分所有法62条1項に基づき、マンションの建替えを行うためには、区分所有者(頭数)および議決権の各5分の4以上の賛成による建替え決議を行うことが必要とされています。

本来であれば、区分所有者は自らの権利の処分を自由に決められるので、建替えには全会一致が必要なはずです。
しかし、それではいつまでたっても建替えに関する合意形成が行われず、マンションが老朽化する一方となってしまいます。

そこで、区分所有法では例外的に、一部の区分所有者が反対したとしても、多数決の原理によって建替えを実行することを認めているのです。

建替え決議に反対する区分所有者は、建替えに参加しないことを選択できます。

この場合、建替えに参加する区分所有者は、参加しない区分所有者に対して、区分所有権および敷地利用権を時価で売り渡すよう請求することができます(区分所有法63条4項)。

売渡し請求の末に、建替えに反対する区分所有者がいなくなった段階で、建替えが実施されることになります。

(2) マンションの建替え等の円滑化に関する法律

マンションの建替え事業を円滑に進めるために、円滑化法の規定に基づき「建替組合」を設立して事業運営を担当させるのが一般的です。

建替組合の設置は義務ではありませんが、区分所有者間の円滑な意思決定や建替え工事の実施を行うためには、建替組合を設立して、円滑化法の規定に沿って手続きを進めるのが得策でしょう。

3.マンションの建替えを行う際の大まかな流れ

円滑化法に基づく建替組合を設立して、実際にマンションの建替えが完了するまでの大まかな流れについて解説します。

(1) 区分所有法に基づく建替え決議

まずは、マンションの老朽化などによって建替えの必要性が検討課題となった段階で、区分所有者間で議論を行います。

その後、管理組合総会において、以下の事項を定めた建替え議案が提案されます(区分所有法62条2項)。

① 新たに建築する建物(再建建物)の設計の概要
② 建物の取り壊しおよび再建建物の建築に要する費用の概算額
③ ②の費用の分担に関する事項
④ 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項

前述のとおり、マンションの建替えを決議するには、区分所有者(頭数)および議決権の各5分の4の賛成が必要です(同条1項)。

(2) 建替え反対者に関する手続き

建替え決議が成立した場合、次に決議に反対した者に関して、以下の手順で対応を行う必要があります。

  1. 建替え決議の内容により、建替えに参加するか否かの回答を書面で催告する(区分所有法63条1項)。
  2. 反対者は、1の催告を受けた日から2か月以内に回答する(同条2項)。回答がない場合は、建替えに参加しない回答をしたものとみなされる(同条3項)。
  3. 建替えに参加する区分所有者は、参加しない区分所有者に対して、区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すように請求する(同条4項)。なお、建替えに参加しない区分所有者が、建物の明渡しによって生活上著しい困難を生ずるおそれがあり、かつ建替え決議の遂行に甚だしい影響を及ぼさない顕著な事由があるときは、1年以内の明渡期限が許与されることがある(同条5項)。

これらの手続きが完了すると、建替え合意が成立したものとみなされます(同法64条)。

(3) 建替組合の設立

建替え合意者は、5人以上共同して、定款・事業計画を作成したうえで建替組合を設立します(円滑化法9条1項)。
その際、建替え合意者全体の頭数および議決権の各4分の3以上の賛成を得ることが必要です。

また、建替組合の設立には都道府県知事または市長の認可が必要となります。

認可申請を受けた都道府県知事または市長は、円滑化法12条各号に定められる不認可要件に該当しない限り、建替組合の設立を認可します。

都道府県知事または市長の認可が下りた時点で、建替組合が成立し(同法13条)、認可の内容が公告されます(同法14条1項)。

なお、建替組合の認可公告がなされて以降は、建替え反対者に対する区分所有権と敷地利用権の売渡し請求は、建替組合が主体となって行うことになります(同法15条1項)。

また、後述する「権利変換」を希望しない区分所有者は、建替組合の認可公告の日から起算して30日以内に、権利変換を希望せず、金銭の給付を希望する旨を申し出ることが可能です(同法56条1項)。

(4) 権利変換計画の策定・認可

建替組合設立の公告が行われた場合、建替組合は、その後遅滞なく「権利変換手続開始の登記」を申請する必要があります(円滑化法55条1項1号)。

「権利変換手続」とは、建替え前のマンションに係る区分所有権等の権利を、建替え後のマンションに係る権利へと変換する手続きをいいます。

権利変換手続開始の登記がなされた後、建替組合は権利変換計画を定めます(同法57条1項第1文)。

権利変換計画を定める際には、土地・建物の権利関係や評価について特別な知識経験を有すし、公正な判断ができる者として総会で選任された「審査委員」の過半数の同意を得る必要があります(同法67条)。

策定された権利変換計画は、総会によって決議されます(同法57条2項)。
さらに、組合員以外のマンション・敷地の権利者および隣接施行敷地の権利者から、権利変換計画に対する同意を得なければなりません。

その後、都道府県知事または市長の認可を経て、権利変換計画が正式に決定し(同法57条1項第2文)、その内容を公告および関係権利者に通知します(同法68条1項)。

(5) 計画不同意者に関する手続き

組合における権利変換計画の総会議決において反対者がいた場合には、組合は議決があった日から2か月以内に、反対者に対して、区分所有権および敷地利用権を時価で売り渡すように請求できます(円滑化法64条1項)。

また、反対者から組合に対しても同様に、区分所有権および敷地利用権を時価で買い取るよう請求することが可能です(同条3項)。

(6) 権利変換・登記・マンションの明渡し

権利変換計画において定められる「権利変換期日」において、建替え前のマンションに係る権利は、建替え後のマンションに係る権利に変換されます(区分所有法70条、71条)。

組合は、権利変換期日後遅滞なく、権利変換後の土地に関する権利について必要な登記申請を行う必要があります(同法74条)。

さらに、権利変換期日後にマンションに占有者が残っている場合には、組合は期限を定めて明渡しを求めることができます(同法80条1項)。

(7) 解体・除却・建替え工事の実施

権利変換とマンションの明渡しが完了し、工事が実施できる状況が整ったら、解体・除却・建替えの順で工事を実施します。

(8) 建替え工事完了

建替え工事が完了したら、組合は速やかにその旨を公告し、かつ関係権利者に対する通知を行います(円滑化法81条)。

組合は、その後遅滞なく、建替え後のマンションに関する各権利について、必要な登記申請を行う必要があります(同法82条1項)。

(9) 建替組合の解散

建替え工事が完了したら、建替組合はその役割を終え、解散します(円滑化法38条1項3号)。

その際、事業の完成による解散の認可を都道府県知事または市長に対して申請します(同条4項)。
解散の認可がなされた場合、その旨が公告され(同条6項)、建替えの手続きは完了となります。

4.マンション建替え時に注意すべきポイント

マンションの建替えに関する法制度は整備されているものの、現実に建替えを行う際には障害になることが多く、あまりマンション建替えの取り組みは進展していないのが実情です。

マンションの建替えに取り組む際には、以下の点が問題になりやすいことを理解しておきましょう。

(1) 建替えの合意形成が難しい

マンション建替えの手続きの中で一番のネックとなるのが、区分所有者による「建替え決議」です。

建替え決議の成立には、全会一致こそ要求されていないものの、区分所有者の頭数と議決権の両方で5分の4以上の賛成というきわめて厳しい要件が設定されています。

建替え決議の成立要件を充足させるためには、管理会社などを通じた粘り強い説得が必要不可欠です。

(2) 時間と費用がかかる

建替え工事にはおおむね1~2年程度の期間がかかり、その間は別の場所に移り住む必要があります。
さらに、工事実施前の合意形成や法律上の手続きにかかる期間も併せれば、5年~10年スパンの計画になることも珍しくありません。

また、建替え費用は建替えに参加する区分所有者の間で分担する必要があり、各区分所有者において数千万円規模の持ち出しが発生します。

このように、マンションの建替えを行う際には、時間と費用の面で大きな負担が生じ、そのことが建替えに関する合意形成をますます困難にしています。

円滑な合意形成を行うためには、時間・費用面でのデメリットよりも、建替えによって得られるメリットが大きいことを、区分所有者に対して丁寧に説明する必要があるでしょう。

5.まとめ

マンションの建替えには、区分所有法および円滑化法で定められた手続きを経る必要があり、特に建替え決議を成立させるための合意形成のハードルが高い点がネックになりがちです。

実際にマンションの建替えを実現するためには、きちんと法律上の手続きを踏むことに加え、円滑な合意形成を行うための丁寧な説明が大切になります。

弁護士にご依頼されれば、区分所有法・円滑化法上の手続きを漏れなく履践すると同時に、区分所有者向けの説明会の運営方法などについても、アドバイスを受けられるでしょう。

マンションの建替えをご検討中の区分所有者や管理会社の方は、一度弁護士へのご相談をご検討ください。

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