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マイホーム建築の際に注意すべき建築基準法上の道路種別

建築基準法にはいわゆる「接道義務」が定められており、マイホームを建築する際には、土地に接している道路の種別や状況に注意する必要があります。

「土地を購入したのは良いものの、建物を建てられない」というような事態が生じないように、事前に建築基準法上の道路に関するルールを理解しておきましょう。

この記事では、マイホームを建築する際に知っておくべき、建築基準法上の道路の種別や、道路に関する義務などを解説します。

1.建築基準法上の「道路」とは?

建築基準法上の「道路」とは、建築基準法42条に定義された道路をいいます。

日本国内には、道路法・都市計画法・土地区画整理法など、法律に基づいて整備された道路が存在します。
その一方で、これらの法律の枠外で、交通上の便宜を図るため私的に整備された道路も併存しています。

土地上に建物を建築する場合には、交通・安全・防火・衛生の観点から問題ないと評価できる水準以上に、土地から道路へのアクセス、および道路上の往来を確保することが必要です。
例えば、救急車などの緊急車両の通行を妨げない、といった理由です。

特に都市計画区域・準都市計画区域では、建物が密集して建築される傾向にあるため、特に交通・安全・防火・衛生の観点に配慮して往来を確保する必要があります。

そのため建築基準法では、日本国内に存在する道路のうち、上記の観点から基準をクリアした道路のみを「道路」と再定義し、都市計画区域・準都市計画区域内で建物を建築する者に対して、接道義務などを課しています。

2.建築基準法上の道路種別

建築基準法上の道路は、同法の条文番号に応じて、以下の種別に分類されます。

(1) 建築基準法42条1項に基づく道路

以下のいずれかに該当する道路であって、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のものは、建築基準法42条1項に基づく道路に当たります(1項道路)。

  1. 道路法による道路(1項1号道路)
  2. 都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法または密集市街地整備法による道路(1項2項道路)
  3. 都市計画区域もしくは準都市計画区域の指定・変更、または条例の制定・改正により、都市計画区域・準都市計画区域となった際、現に存在する道(1項3号道路)
  4. 道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法または密集市街地整備法による新設・変更の事業計画のある道路で、2年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの(1項4号道路)
  5. 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法または密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの(1項5号道路)

なお、幅員6メートル以上が求められる区域でも、特定行政庁が以下のいずれかに該当すると認めて指定したものは、建築基準法上の道路とみなされます(同条4項)。

  • 周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認められる道(1号)
  • 地区計画等に定められた道の配置および規模またはその区域に即して築造される道(2号)
  • 区域が指定された際現に道路とされていた道(3号)

(2) 建築基準法42条2項に基づく道路

新たに都市計画区域・準都市計画区域となった際に、当該区域内に現存する道路のうち幅員4メートル未満のものは「1項道路」に該当しません。
このような区域における幅員4メートル未満の道路は、特定行政庁の指定により、建築基準法42条2項に基づく道路と認められることがあります(2項道路)。

この場合、道路の中心線からの水平距離が2メートル(一部の区域では3メートル)の線が、その道路の境界線とみなされます。

なお特定行政庁は、幅員1.8メートル未満の道を2項道路として指定する場合には、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません(同条6項)。

(3) 建築基準法42条3項に基づく道路

土地の状況によりやむを得ない場合には、幅員4メートル未満であっても、特定行政庁が個別に中心線からの水平距離を指定したうえで、建築基準法上の道路として認定することがあります。

このように、特定行政庁によって中心線からの水平距離が指定された道路は、建築基準法42条3項に基づく道路に当たります(3項道路)。

なお、3項道路の中心線からの水平距離は、最低でも1.35メートル以上(幅員2.7メートル以上)である必要があります。

また、特定行政庁が3項道路について中心線からの水平距離を指定する際には、あらかじめ建築審査会の同意を得ることが必要です。

3.住宅建築時に、建築基準法上の道路に関して注意すべき事項

マイホームを新たに建築する際には、建築基準法上の「接道義務」に注意する必要があります。

接道義務の内容を正しく認識しておかないと、最悪の場合、建物が建てられないなどの事態が生じかねないので要注意です。

(1) 原則として道路に2メートル以上接していることが必要

新規に建物を建築する場合、建築敷地は、建築基準法上の道路に、原則として2メートル以上接道していなければなりません(建築基準法43条1項)。

そのため、まずは購入を検討している土地に接している道路が、建築基準法上の道路に該当しているのかどうかを確認する必要があります。
建築基準法上の道路種別の確認は、市区町村に対して書面で問い合わせを行うのが一般的です。

そのうえで、正確な測量を行い、敷地の接道幅が2メートル以上であることを確認しましょう。

特に旗竿地(路地状の部分のみが道路に接しており、全体的に他の土地に挟まれるように位置している土地)の場合、接道幅が非常に狭いケースがあるので、接道義務を満たしているかどうかきちんと確認することが大切です。

[参考記事] 敷地延長・路地状敷地のメリット、建築制限、トラブル例を解説

なお、接道幅が2メートル未満の場合でも、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めて、建築審査会の同意を得て許可した場合には、接道義務が免除されて建物を建築できるようになります(同条2項2号)。

ただし特定行政庁の許可は、建物を建築するたびに取得し直す必要があるので、以前建っていた建物と同様に許可が下りるとは限らない点に注意が必要です。

(2) 接道が2項道路の場合にはセットバックが必要

新たに都市計画区域・準都市計画区域に指定され、接道義務が適用されるようになった時点ですでに存在する建物については、そのまま建物を維持することが認められています。

しかし、現存する建物を除却して、新たに建物を建築する場合には、道路部分にはみ出さないように建築物や擁壁を建築する必要があります(建築基準法44条1項)。

ここで問題となるのは、2項道路に接している土地上に、新たに建物を建築する場合です。

前述のとおり、2項道路の境界線は、道路の中心線からの水平距離が2メートル(一部の道路では3メートル)の線とみなされます。
実際には、2項道路の幅員は4メートル未満(6メートル未満)ですので、敷地の一部が道路とみなされる形となるのです。

道路とみなされた敷地部分は「セットバック」と呼ばれ、セットバック部分には建築物や擁壁を建てることができません。

したがって、接道が2項道路の場合には、実質的に建物敷地として使える面積が減ってしまうのです。

この点について、国土交通省の重要事項説明書の様式例では、「敷地等と道路との関係」という欄に建築確認の取得が必要な場所では建築基準法42条の何号にあたる道路かの記載があります。

もし2項道路だったら取引物件土地面積からセットバック部分の面積を差引いた面積が建ぺい率、容積率算定の基礎となるべき建築基準法上の「敷地面積」となります。

接道が2項道路である土地を購入する場合は、セットバック部分を織り込んだうえで、想定している建物を建築することができるかどうかを検討することが大切です。

[参考記事] セットバックが必要な土地を購入する場合の注意点

(3) 再建築不可物件に注意

接道幅が2メートル未満の敷地であっても、都市計画区域・準都市計画区域として指定された当時から存在する建物は、接道義務を満たしていないにもかかわらず、引き続き維持することが認められています。

しかし、接道幅が2メートル未満の敷地の場合、既存建物を除却して新たに建物を建築しようとしても、接道義務を満たすことができないため、建築許可を得ることができません。
このような物件(敷地・既存建物)を「再建築不可物件」といいます。

再建築不可物件の場合、そのままでは敷地上にマイホームを新築することはできません

どうしてもその敷地にマイホームを建てたい場合には、周辺の土地を買い取って合筆するなどの対応が必要になりますが、実現可能性は低いケースが多いと考えられます。

そのため、マイホーム新築用の土地を購入する際には、その土地が再建築不可物件に該当しないことを確認することが大切です。

[参考記事] 再建築不可物件とは|リフォームは可能?再建築を可能にする方法は?

4.まとめ

マイホームを新築する際には、建築基準法上の接道義務を満たす必要があることとの関係上、敷地に接している道路の種別・状況を確認しなければなりません。

接道の状況によっては、セットバックが必要になったり、そもそも新規に建物を建築することができなかったりする可能性もあるので、事前の確認作業を慎重に行いましょう。

マイホーム新築を検討する際、建築基準法上の接道義務などとの関係で不安な点がある場合には、一度弁護士にご相談ください。

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